
グロい感情を吐き出したパンクソング
――“生き急げ!遅刻常習犯”はストレートな高速パンクで、高校生ならではのタイトルと歌詞がマッチしています。
有斗夢「奏人心を結成して最初に作った曲ですね。僕は遅刻癖があって、〈なんでいつもこうなんだ〉っていう気持ちを歌ったパンクソングにしようと思いました」
――〈みんなに見えないところで/キスをしていて/君とあいつを殺したい衝動に駆られた〉というフレーズが印象的で。いったいどんな高校生だったんですか?
有斗夢「みんなの前で張り切って物事やる人間ではなく、遅刻ばかりでみんなと違うというか、いつも浮いているというか。
この歌詞は自分の中にあるグロい感情を出したいと思ったら出てきた言葉で、なんかいつもムカムカしている高校生だったかもしれません(笑)」
――あげはさんは、中学校にはあまり通っていなかったとおしゃっていましたけど、高校ではサークルの部長をやるくらいですから、活発なほうでしたか?
あげは「いえ、バンドは自分がやりたいから頑張っていましたけど、勉強とかそれ以外の学校の活動はぜんぜん頑張っていませんでした(笑)」
――一翔さんは?
あげは「寡黙で変なヤツ(笑)。今日はまだ喋っているほうかも」
一翔「……(笑)」
――“007”も“生き急げ!遅刻常習犯”も、ドラムのフレーズのバリエーションや間をものにしたスピード感の変化が印象的で、グリッドに沿った正確性に囚われない表現力が光っていると思いました。
一翔「タイプとしては感覚派なのかもしれません。じゃあその感覚は何かと考えたときに、キックの位置よりも、裏拍への意識が強いように思います。“生き急げ!遅刻常習犯”は特にそうですね。速い曲で裏拍を意識したプレイがバチッとはまると気持ちいいんです」
――“16winter Boy’s”は作品を締める曲としてベストだと思いました。まさに感受性を探す若者の何かが動き始める瞬間のようで、バンドの未来を感じます。
有斗夢「奏人心を結成する前の気持ち、ほかのコピーバンドや自分の現状に対して、〈なんでこんなことを続けなきゃいけないんだ〉と思った、どうにもならない感情から始まる物語で、綺麗なメロディーから入って電車のように加速して高まっていくモチベーションを表現しました」
新時代に新風を起こしたい
――初期に覚えた感情や衝動を爆発させた作品という意味では、二度と同じ味は出せないEPだと思うんですけど、この先、奏人心はどうなっていくのでしょうか。
有斗夢「この作品はおっしゃるように、自分たちの初期衝動、バンドを結成したばかりの頃のエネルギーが閉じ込められた、今この瞬間だからこその作品。そしてこの先、20代、30代と、世界のこととか時代のこととか、いろんなことを思って作品を作っていくんだろうなと思います。そして一周してまたここに戻ってくるんじゃないかって、どこかでそんな予感もするんですよね」
――有斗夢さんの目には、今の世界はどう映っていますか?
有斗夢「自分が少しずつものを知って成長したことで、今まで見えていなかったことが見えるようになっただけかもしれないですけど、何年か前とはずいぶん違っているなあと思います。目を覆いたくなるような嫌なこともたくさんあるけど、世界も時代も新しくなっていて、いい未来にできるかどうかは自分たち次第なんじゃないかと。
僕たちの周り、福岡のバンドシーンもそうで、今が新しい時代に移り変わる境界線のように感じています。僕らのカルチャーは、かつてのムーブメントやライブハウスの温かみのうえに存在しています。そこに対する敬意を持ったうえで、すでに世に出ているキャリアのあるバンドの喉元に何かを突き刺すようなことがしたいですし、僕らなりにライブハウスに何ができるのか、曲やパフォーマンスを通じて何が伝えられるのか、はっきりした考えを持って活動し続けて、新しい風を起こしたいと思っています」
あげは「福岡のライブハウスシーンは、歴史もあって純粋におもしろいんです。今は、そのおもしろさを奏人心がブーストさせてもっと盛り上げたい。
そして、有斗夢くんが言ったように自分たちが成長していく中で、その時々に感じたことを曲として10年20年とアウトプットし続けた先にまた、右も左もわからずバンドをやりたいと思った、あの頃の衝動があったら、それってすごく未来だろうなって思います」
一翔「僕は2人に付いて行くスタンスなんで、ドラムがやれればそれでいいやって。自分の考えがないと言えばないんですけど、最近は、福岡と言えばまずは奏人心、そういうバンドになりたいなって思っています」
RELEASE INFORMATION
リリース日:2024年11月13日(水)
品番:FSCR-2
形態:CDシングル/4曲収録
価格:499円(税込)
※CDのみの発売。サブスク、配信等は一切ありません。CDで最高に大きな音で聴いてください。
TRACKLIST
1. 昼でも星は光って
2. 007
3. 生き急げ!遅刻常習犯
4. 16winter Boy’s
全作詞 永松有斗夢 全作曲・編曲 奏人心
PROFILE: 奏人心
奏人心(そうとしん)。19歳の3人。永松有斗夢(ボーカル/ベース)、山路あげは(ギター/ボーカル)、今橋一翔(ドラムス)。飾らないけど詩的な言葉と激しいビートでシャウトする福岡の突風ロックバンド。結成の半年後に九州朝日放送「高校生のじかん」で特集され、ライブハウスでのワンマンを成功させ、同番組のテーマ曲に抜擢された。番組のフェス〈ハイスク祭のじかん〉でJR九州ホールに出演し、さらに俳優・ミュージシャンの石橋凌が審査委員長を務める福岡県高校軽音新人コンテストでグランプリに輝いた。2024年10月、〈FM802 MINAMI WHEEL2024〉に出演。「福岡のライブハウスの遺伝子を持ってきたので、それを感じてもらえたらと思います」というMCとともに35分間のライブを展開。出演者の中で最も無名にもかかわらずダークホースとなる。福岡、広島、宇部で立ち上がりつつある10代のロックバンドのムーブメントの中心的バンドの一組として注目されている。11月13日に1st EP『SEARCH感受YOUTH』を4曲入り、499円のCDのみでリリース。福岡在住で福岡のバンドであることに誇りを持ち、福岡を拠点に福岡から世界を射ち落とす。奏人心は奇を衒うことや情報に振り回されることもなく、今日も福岡のライブハウスのステージに上がっている。CDもライブも最高に大きな音で浴びたいバンド。
