サッカー・マミーの4枚目のアルバムは、アコギとストリングスによるフォーキーなサウンドが始まりと終わりを飾るブックエンド・スタイルの野心作。そこで繰り広げられるさまざまな音楽的な冒険が聴きどころだ。現代のインディー・ロックのロールモデルになったドリーミーな音像を基調に“Driver”ではギターの轟音とバロック・ポップを交錯させ、“Abigail”ではシンセの音色も使いながら、清涼系のポップ・サウンドを煌めかせてみせる。なかでもいちばん重要なのはフリーキーなトラックメイキングが異色の“Anchor”だ。リスナーの気持ちを波立たせ、ダメ押しするようにアルバムの印象を刻み込む。