関西を中心に活動中の3ピースバンドLAYRUS LOOPが、1stフルアルバム『HAPPY BIRTHDAY』をリリースした(CDはタワーレコード、ライブ会場限定で販売)。オオトシ ユリヤ(ベース/ボーカル)、ムラカミ マホ(ギター/コーラス)モトザワ ソラ(ドラムス)の3人が高らかに鳴らす色とりどりのポップチューンは、関西から日本全土、果ては台湾にまで届き始め、今まさにバンドとしてノリに乗っている状況だ。

Mikikiでは、LAYRUS LOOPにとって1つの到達点となった『HAPPY BIRTHDAY』をプロデュースした金井政人(BIGMAMA)と、バンドでソングライティングを担うオオトシとの対談を実施した。2025年にさらなる飛躍を遂げるであろうLAYRUS LOOPと金井による楽曲制作の裏側に迫った。 *Mikiki編集部

LAYRUS LOOP 『HAPPY BIRTHDAY』 highlight/UK.PROJECT(2024)

 

金井が感じた〈主人公力〉

――まず、初のフルアルバムをリリースした今の心境を聞かせてください。

オオトシ ユリヤ(LAYRUS LOOP)「アルバムを出すこともCDを発売することも、自分たちの目標であり夢だったので、それが叶って嬉しいです。メンバーと一緒にCDを展開していただいているところを見に行った時に、〈ああ、やっとタワレコに置いてもらえるようになったんや〉と実感が湧いて。達成感があったし、めっちゃ感動しました」

――そもそも、どんなビジョンを思い描きながら制作したアルバムだったんでしょうか?

オオトシ「昨年12月20日に梅田Zeelaで行った初ワンマンに向けて作りました。2023年の私たちは、活動はしていたけど波がなかったと言いますか、ただ〈こなす〉ような1年を過ごしてしまったんです。この現状を変えようと、まず2024年の初めにメンバーやスタッフ、金井さんと今後の活動について話し合って。そこで〈2024年はワンマンに向けて動いていこう〉〈12月20日までにどれだけの人を巻き込めるか、考えながら活動していこう〉という話になりました。じゃあワンマンに向けてたくさん曲をリリースしたいよね、ということで、アルバムを作ろうと」

――金井さんがアルバムのプロデュースを手掛けることになったのは、どういった経緯で?

金井政人(BIGMAMA)「僕は元々同じ事務所に所属していたので、3人に対して家族愛のような感情を持っていて。自分がLAYRUS LOOPの役に立てる時がきたら、その役割を全力で全うしたいと思っていました。

僕の一番の仕事は、3人のやりたいことを分かりやすくすること。バンドのアーカイブやリスナーの反応をチェックしながら、〈レトロポップ〉というキーワードを出したり、〈やはり3ピースバンドであることを打ち出した方がいいと思うよ〉とメンバーに伝えたりしました」

オオトシ「普段の曲作りではまず私がデモを作って、メンバーに共有して、〈よし、じゃあスタジオに入って形にしていこう〉という流れなんですけど、今回は金井さんにデモ共有の段階から入ってもらって。作詞作曲については私より金井さんの方が経験があるし、〈なるほど〉と思うことがたくさんありました。

例えば“もしも”の歌詞について、〈もっと伝わりやすくするために、歌詞のダイエットをしてみては?〉と言ってもらったのが印象に残っています。当初はもっと字数の多い歌詞だったんですけど、よりシンプルな言葉に変えていきました」

金井「初めに〈僕とバンドは対等で、プロデューサーの方が偉いということはないから〉〈バンドのためだと思ったら、お互い我慢せずに言いたいことを言おう〉〈最終的に決めるのは僕じゃなくて3人だよ〉と伝えたんですよ。その上で、曲を書いているユリヤ氏の中にダイヤモンドのような固い意志があったのがすごくよかったなと思っています」

オオトシ「確かに、レコーディング中〈こういうふうにしたらいいんじゃない?〉と言ってもらっても、自分の中に断固とした思いがあった時は〈いや、ここはこうしたいです〉というふうに、ちゃんと意見を伝えられていたと思います」

金井「僕はユリヤ氏に〈主人公力〉を感じているんですよ。きっと初めから全てを与えられた神の子ではないと思うんだけど、自分の魅力に気づいていて、磨き上げるための努力をしているのが彼女の一番のストロングポイント。それは言い換えると〈勘違い力〉と呼ばれてしまうものかもしれないけど、メロディを作って歌にするという〈篩にかける〉作業をする人が、自分が主人公だと思える人間なのはいいことだと思っています」

オオトシ「確かに〈私が主人公や〉みたいな気持ちは持っていると思います」

金井「魅力を発揮するための方法論はこれからもっと広がっていくと思うんですけど、このアルバムで原石証明はきちんとできたんじゃないか思います。LAYRUS LOOPはいつ、どのように世の中に見つかっても大丈夫。そう言える段階にきたと思っています」

オオトシ「めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます!」