babyMINT

クリスマスのタワレコ渋谷を盛り上げた台湾のアーティスト4組

2024年12月25日・26日の2日間、台湾を代表するアーティストが出演するライブイベント〈塔音渋谷『台湾音市』音楽祭 Vol.2〉が、タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIOで開催されました。

〈台湾音市 Vol.2〉では、金曲奨を2度受賞している実力派シンガー・艾怡良(Eve Ai Yi-liang/イブ・アイ)、デビュー10周年を迎えるユニット・晨悠(CHENYO/チェンヨウ)、新進気鋭の多才なアイドル・洪暐哲(WAJI/ホン・ウェイジョー)、そしてTikTokでも大注目されている次世代ガールズグループ・babyMINT(ベイビーミント)の4組が出演。それぞれが趣向に富んだパフォーマンスで、クリスマスの渋谷を盛り上げました。

また、前回に引き続き、タワーレコード渋谷店6Fには〈台湾音市〉の特設コーナーを設置。台湾で話題のアーティストたちのCDを多数取り揃えています。さらに、出演者はライブ当日にCDやグッズ購入者向けのサイン会も開催するなど、〈台湾音市 Vol.1〉に続き、台湾音楽に浸る充実の2日間となりました。

 

晨悠(CHENYO)

2人の声を重ねて聴き手を癒すユニット晨悠(CHENYO)

初日の1組目は、郭惟晨(グオ・ウェイチェン)と吳以悠(ウー・イーヨウ)からなるユニット、晨悠。晨悠は2023年7月に初のアルバム『去你的平行宇宙』を発売し、〈台湾音市 Vol.2〉でのパフォーマンスはデビュー10周年を祝うスペシャルライブとして行われました。

また、2022年にジェンダーフリーの服飾ブランド〈XYO!〉を立ち上げるなど、ファッションにも並々ならぬ情熱を持つ彼ら。その煌びやかなルックスにも注目が集まりますが、歌手としての実力には定評があり、ライブで演奏するのは郭と吳のみ、というミニマムな編成でありながらも、その歌唱力の高さとハーモニーの美しさが際立っていました。

1曲目に披露された“你說得容易”は、恋人同士の切ないコミュニケーションのすれ違いを歌った壮大なバラードです。力強いビートと抑揚の効いた情熱的な歌唱によって、晨悠が描く瑞々しくも切ない世界観に観客は引き込まれていました。一部では2人が交互に歌い、また別の箇所では美しいハーモニーを奏で、冒頭からデュエットの表現力を余すことなく発揮。そのパフォーマンスは観客を魅了し、キャリア10年の貫禄を感じさせるものでした。

3曲目に披露された“披星戴月的想你”は告五人 Accusefiveのカバー。本曲から吳がギターを手にし、歌とギターによるシンプルなアコースティックセットへと様変わりしました。そして、2015年公開の台湾映画「我的少女時代-Our Times-」の主題歌として広く知られている田馥甄(ヒビ・ティエン)の“小幸運”、宇多田ヒカルの“First Love”と立て続けにカバーを披露。デュエットによる“First Love”は日本人にとっても新鮮で、歌い出しから観客の「おー!」という驚きの声が会場を包みました。その後はクリスマスのために書かれた“遇見你的第25天”を演奏するなど、セットリストにも細やかな工夫が凝らされていることがうかがえました。

晨悠のライブをじっくり聴いていると、郭は透き通った、抜けの良い声を持つのに対し、吳は優しくしっとりとした声で、似ているようで絶妙に異なる2つの声の組み合わせこそが彼らの魅力であることに気付かされます。その後の2人へのインタビューで、晨悠のコンセプトについて尋ねた際、「私たちの音楽を聴いてうつ病を乗り越えた、とDMで伝えてくれたファンもいます。それはとても感慨深いことです」と語っており、彼らの音楽を語る上で〈癒し〉が重要な要素であることを示唆しました。