〈FUJI ROCK FESTIVAL ’26〉が2026年7月24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間、新潟・苗場スキー場にて開催される。今年も国内外の多様なアーティストが集結するフジロックについて、先日公開したVol. 1に続き、今回も注目アーティストなどを挙げながらトピック毎に見どころを解説していく。 *Mikiki編集部


 

XGの音楽はフジロックでどう響く?

〈xg フジロック〉とググろうとしたら、〈xg フジロック どうなる〉というサジェストが出てきて笑ってしまったが、それだけ意外だったのがXG出演決定の報だった。〈SUMMER SONIC〉とちがい、フジロックにはK-POPやその流れを汲むダンス&ボーカルグループが基本的に出演していない。フジロックの歴史から言っても〈フジロッカー〉と呼ばれるファン層から言っても、とにかく異色なのだ。しかし言い換えれば、今年のXGの出演は、フジロックの歴史を変える出来事になりうる。またここ1、2年は、苗場での体験を求める若い客層が多数参加していることもあって、フジロックのオーディエンスが変わったいまこそXGがバッチリハマる可能性がかなり高い。苗場でXGの音楽がどう響くのか、受け手がどう反応するのか、予想ができないからこそ必見なのがフジロックでのXGだ。

改めて説明するまでもないが、2022年にデビューしたCHISA、HINATA、JURIN、HARVEY、JURIA、MAYA、COCONAからなる7人組は、自らの音楽を〈X-POP〉と称し、ジャンルやジェンダーを超えた活動を展開している。アジア、北米、ヨーロッパと国境も越えてツアーをおこない、2月からは二度目のワールドツアーを開催中。1月にリリースした初のフルアルバム『THE CORE - 核』は、今年最大の話題作のひとつだ。そんないままさに勢いに乗っているXGをフジロックで見られるのは、幸運でしかない(単独公演のチケットは熾烈な争奪戦ゆえ)。鍛え上げられた歌、ダンス、そして独自のビジュアルなどで織り成す、常に進化しつづけているXGワールドをWHITE STAGEで浴びてほしい。 *天野

 

ベースメント・ジャックスやトモーラのステージで踊り狂う!

過去にはケミカル・ブラザーズ、アンダーワールド、エイフェックス・ツインらがヘッドライナーを務めるなど、フジロックにはダンス/テクノ系のエレクトロニックなアーティストが欠かせない。今年は国外アーティストに絞ってみても、ベースメント・ジャックス、トモーラ、ケリー・リー・オーウェンス、キララなど多彩なアクトが揃っている。

フジロックには12年ぶりの登場となるベースメント・ジャックスのライブは、ストレートな縦ノリのクラブ/ハウスミュージックを得意としながらも、そこにレイヴの狂騒やラテンの陽気さなどをマッシュアップさせ、まさにその場を自分たち仕様に〈ジャック〉していく。ビッグビート味の強いハウスチューン“Where’s Your Head At”や、ラテンのエッセンスをふんだんに盛り込んだ“Romeo”といったヒットアンセムは間違いなくやってくれると思うし、複数のボーカリストなどを従えたバンドスタイルでのパフォーマンスは単純に〈見て楽しめる〉ステージになるはずだ。

そんなベースメント・ジャックス以上に今年注目を集めているダンスアクトがトモーラだ。昨年アニメ「怪獣8号」第2期のオープニングテーマを担当したことでも話題となったノルウェーの歌姫オーロラ、そしてケミカル・ブラザーズのトム・ローランズがタッグを組んだユニットは、このフジロックで初来日&日本初ステージとなる。事前予習としては両者の美味しいとこ取りなダンストラックが敷き詰められた1stアルバム『COME CLOSER』を聴いてもらえばよいが、ライブへの気持ちを高める上では今年のコーチェラの映像をぜひチェックしてもらいたい。随所にコンテンポラリーな演出が入りつつもケミカル色の濃いハードなレイヴ空間が繰り広げられそうだ。

苗場を居心地のよいフロアへと変貌させるであろうケリー・リー・オーウェンス、先日リリースされたtofubeatsの新EPにリミキサーで参加した韓国のDJ/プロデューサー、キララもきっとサービス精神たっぷりなセットを披露してくれるはず。山々に囲まれた大自然の中、分厚いビートやエッジーなサウンドに身を委ねてぜひ踊り狂ってみてはどうだろうか。 *小田


 

平沢進+会人、TESTSETらエレクトロニック/ダンスアクトは国内勢も充実

エレクトロニックミュージックやダンスミュージックアクトは、もちろん国内勢も充実している。筆頭はGREEN STAGEに出演する平沢進+会人。異形の音楽性で国内外でカルト的な人気を誇る平沢については、もはや説明不要だろう。覆面パフォーマーの会人を従えた活動は2017年からおこなっており、ライブごとにパフォーマンスが更新されているので、今回はどのような演奏やビジュアルになるのだろうか。いまのところの最新作『BEACON』を聴いて、フジロックに備えよう。また平沢といえば、フジ初出演の2019年は大いに話題になった。そのことについて聞いたインタビューがあるので、ぜひこの機会に読んでほしい。

初回から出演し、伝説化している2006年のライブや2021年でヘッドライナーを務めたことからフジロックと特別な関係を築いている電気グルーヴ。ソロでもほぼ毎年のように出演し、最多出演レベルの石野卓球は、まさにフジロックの顔だ。2019年にはピエール瀧をステージに呼び込んでオーディエンスを驚かせた。今回のセットにも期待が高まる。

砂原良徳、LEO今井、白根賢一、永井聖一からなるTESTSETは、ニューウェーブの魂を受け継ぐ電子音 × ロックのエッジを鳴らしている。昨年の2ndアルバム『ALL HAZE』が傑作だったうえ、強靭なライブパフォーマンスで知られる彼らは絶対に見たいところ。ちなみにTESTSETのデビュー自体がフジロックなので、メンバーにとっても特別な場なのでは。また、ROOKIE A GO-GOからのし上がったLAUSBUBもYMOのテクノポップやニューウェーブを現代の感覚で洗練させている存在なので、あわせて要注目。

そして目玉は、〈ICHIRO YAMAGUCHI (sakanaction)〉名義の山口一郎だろう。2018年にソロで初出演、テクノやハウスをストイックにかけるDJセットで聴かせたが、今年も出演は深夜の〈SUNDAY SESSION〉なので同様のパフォーマンスになると予想している。YouTube配信でのトークやサカナクション“夜の踊り子”の世界的バイラルヒットでも話題の山口が、いま何をかけるのだろうか。楽しみだ。 *天野

 

アンジーヌ・ド・ポワトリーヌは今年の台風の目に!?

世界各国のアーティストが集まり、多様なジャンルが行き交うフジロックにおいて楽器同士のアンサンブルを堪能したい、その場限りのインプロビゼーションを目撃したい、なんて人もいるだろう。ジャズ、ヒップホップ、ソウルなどを手広く演奏するバッドバッドノットグッドは最新アルバム『Mid Spiral』に伴うツアーも終え、現在は作品に縛られない自由な選曲でのライブを展開中。最近のライブではJ・ディラやデヴィッド・ボウイなどをカバーしていて、ヒップホップ/ロックリスナーもエンジョイできるに違いない。

今年のフジロックの台風の目となりそうなのがカナダ発の正体不明のマスロックデュオ、アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ。ドット柄の奇抜な衣装に身を包んではいるものの、微分音ギターとベースを備えたダブルネックを操るクン・ド・ポワトリーヌ、タイトなドラムでバンドの骨格を担うクレック・ド・ポワトリーヌの2人が織りなすスリリリングかつユニークなパフォーマンスはきっと多くのフジロッカーの心を掴むはず。フェス直前には2枚のEPがCDとLPでリリースされるので要チェックだ。

そのほか、今年初めに日本独自盤『Alma’s Cove / Mt. Sava』もリリースした優雅でサイケデリックな音像がクセになるロンドンの4人組ユーフ、チカーノソウルやクンビア、カントリーあたりも一緒に煮詰めたビンテージなサウンドで魅了するLA LOM、最新アルバム『Cook』も好評なジャズファンクの重鎮レタスと、いずれもフジロックとの相性は抜群。刺激的で独創的なステージをぜひ苗場で満喫しよう。 *小田

 

トロ・イ・モアなど温かくソウルフルでオーガニックな3組

そのほか、ここまでの枠組みに当てはまらないR&B系では、チルウェイヴの旗手としてキャリアを始め、ファンクやソウル色を強めてきたトロ・イ・モアは、今回が2016年以来10年ぶりの来日公演になるのでかなり貴重。聴き手へ親密に寄り添う歌い口と詩情豊かなリリックが魅力のアーロ・パークスは、新作『Ambiguous Desire』をリリースしたばかり。2023年の来日ツアーはソールドアウトし、かなり話題になった。前回見逃した人もそうでない人も必見だ。

そしてサンセット・ローラーコースターとの合体バンドで昨年フジロックを沸かせた韓国のヒョゴが、今回は単独で出演することも見逃せない。トロ・イ・モアもアーロ・パークスもヒョゴも、温かくソウルフルでオーガニックなサウンドだからこそ〈フジロックで聴きたい〉と強く思わせてくれるアーティストだろう。 *天野

 

Aoooや礼賛のステージで日本のポップスの現在地を確かめる

藤井 風やXG以外にもポップスを主戦場とするアクトで注目すべきアーティストはたくさんいる。2000年代の邦ロックからの影響も色濃く感じさせる2ndアルバム『Rooom』をドロップしたばかりのAoooは、すでにアリーナ規模のワンマンを成功させ、今年11月には武道館公演も控えるなど破竹の勢いでJ-POPシーンを席巻中。フェス3日目のRED MARQUEEで浅井健一やthe cabsらと競演するとのことで、Aoooのポップネスがどのように輝くのか注目だ。

ラランドのサーヤがCLR名義で作詞・作曲・ボーカルを務める礼賛もフジロックに初登場。色気のある歌とスムースなラップを自在に繰り出すCLR、そして晩餐(川谷絵音)ら手練れたちが生み出す一級品のポップスは、フジロックでも十分に通用するものだ。いきなりWHITE STAGEでの出演とあって、野外の大舞台で大いに暴れてくれそうだ。

また、ceroやシャッポといったカクバリズムの面々も個人的には今年苗場で見たいアクトとして挙げておきたい。日本のポップスの現在地を確かめる場としても、フジロックは重要なフェスだと思う。 *小田

 


LIVE INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL ’26

2025年7月24日(金)、25日(土)、26日(日)新潟・湯沢町 苗場スキー場
公式サイト:https://fujirockfestival.com