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枠組を自由にはみ出していく

 そして、メジャー・デビューのタイミングで彼らを支えたのは、グラミー・アーティストでもある宅見将典。グッと大人びた表情を見せるニューヨリカン・ソウル調の“手のひらで踊らせて”、山下達郎を想起させるブリージンな“ごめんね”で新たな扉を開いている。

 「10代らしい爽やかさを表現するのも僕らの大きな軸ですけど、もう一つの軸としてあるのが“手のひらで踊らせて”みたいにマイナー調で、主人公に憑依して歌うタイプの曲。アレンジは最初のデモからそれほど変わってないんですけど、聴こえ方がまったく違う仕上がりになりましたね」(こうき)。

 「生演奏したドラムを1〜2小節チョップしてペーストすると、自分で叩いたグルーヴなのに違って聴こえる。アイデアが膨らんだ一曲でした」(こた)。

 「リズムが細かくてワンループを貫くこの曲のベースは難しくて。そういう曲にバチバチのソロを入れたのも新鮮だったかなと思います」(らな)。

 「“ごめんね”は、大切な人がいなくなったときに言えなくて後悔する言葉を考えると、〈ごめんね〉かなって。気恥ずかしいけど、そこで勇気を出せるものにしたいと思い、この曲を作りました。宅見さんのアイデアでサビ始まりの構成にしたらとんでもなくいい曲が出来ちゃいました(笑)」(こうき)。

 終曲はバンドのプロデュースによるノスタルジックなミディアム“またね”。ラストで繰り返される3人のユニゾン・ヴォーカルがみずからの足元を確かめるバンドの誠実さを物語るようで感動的だ。

 「いろんなプロデューサーさんにいただいた知識をこの曲で発揮できたなと。ドラムもシンバルのサスティンが残っちゃうときに、3人でシュッと手で押さえて……」(こた)。

 「そのタイミングで私とこうきもパスンと音を切るみたいな。そこから一瞬ブレイクを挟み、こうきのブレスが入ってきて、あの鳥肌が立つようなサウンドに繋がっていくという、そういう聴き心地にもこだわって作った曲です」(らな)。

 「今回は僕たちが高校生の頃に作った楽曲のアルバムですけど、そのなかでも“またね”は、自分たちだけで納得のいくものが作れたと実感できた初めての曲。僕の母がストリングスを弾いているという意味でも思い出深い作りになりました。僕らは〈シティ・ポップ〉と言われる音楽が大好きだし、そこからのリファレンスも大事にしているけども、やっぱり僕らだからこそのサウンドを一歩ずつ前進しながら作り上げていきたい。今後も枠組は気にせず、自由にはみ出していきたいです」(こうき)。

『Freedom』の制作陣が関わった作品を紹介。
左から、Masa Takumiの2022年作『Sakura』(Utanashi)、横山裕章が参加したHIROBAの2023年作『HIROBA』(エピック)、保本真吾がプロデュースした三上ちさこの2020年作 『Emergence』(SLIDE SUNSET)、CRCK/LCKSの2024年のライヴ盤『Rise in the East』(APOLLO SOUNDS)