銀河の各地で繰り広げられる物語を届ける超次元トリッパー☆イシュタール
――プロフィールを拝見しましたが、本格的に音楽活動を始めたのは2016年ですか?
「そうですね。映画の上映会で海外を回って、その場でインスピレーションを受けたメロディを会場の方に歌って伝えるパフォーマンスをする時間があり、それが表舞台に立って人前で歌ったきっかけでした。
それまでは裏方としてサポートする側で、そちらの方が得意だと思っていたのですが、映画監督から〈歌って〉と言われ、私は何事にも〈ノー〉と言わないようにしていたのでやってみたんです。そうしたら海外の方々が喜んでくれて、それがきっかけですね」
――歌は元々お好きだったんですか?
「もちろん大好きで、学生の頃から合唱団に入っていて、いい先生に恵まれたのでコンクールで優勝したり、海外コンクールに行かせてもらったりしました。人間の歌って力があるなと、ずっと感じています」
――裏方志向の方がバンドのフロントパーソンとして立つのは覚悟が必要だったでしょうね。
「毎回ドキドキしています(笑)。覚悟して落ち込んで、ずっとその繰り返しです。一人でステージの中央に立つって怖いことなので葛藤はありました。でも聴いてくれる方、共感してくれる方が増えたので、今は〈やってきてよかった〉という思いが強いです」
――プロフィールには〈各土地で感じるエネルギーからインスピレーションを受けて音楽を制作〉とも書かれています。
「建造物などが何もないスポットに立ち入った時、音が聞こえることが子どもの頃からあって、その音を自分だけで楽しんでいたんです。その話を先ほどの監督にしたら〈じゃあ歌ってみて〉と言われて(笑)」
――それは自然から感じるのでしょうか?
「そうだと思います。木々や風、花といったものが音を出していて私の耳に聞こえてくるんだと思うんです。
それで主に曲を作っているのがカミムスヒというユニットです。各地に行ってメロディをキャッチしたらそれを残しておいて、土地にまつわる大和言葉や『古事記』など古代の書物の要素を持ち込んで制作しています。
超次元トリッパー☆イシュタールは、どちらかというと夢で見たビジョンにインスパイアされています。私は自分が見た夢をよく覚えているんですけど、毎回映画一本分のような内容なんですね。そこで聞こえたものを掴んで、なるべく再現したいなと。夢って自分にとっては素敵で面白いのに、それをただ表現しても面白くないことが多いんです(笑)。どうやってそこを繋げるか、いかに曲にするかは考えながら作っています」
――映画や映画音楽が好きな總水さんならではのプロジェクトですね。
「例えば社会で虐げられている人とか、勇気を持って一歩を踏み出せない人とか、そういった色々な人の物語を伝えて誰かを応援し、後押しになる曲を作れたらいいなと思っています。様々な物語が銀河の各地で繰り広げられていて、それをお届けするのが〈多次元宇宙を旅する〉というコンセプトです」
聴き手に気づきを与え、サポートする〈音楽ギルド〉
――超次元トリッパー☆イシュタールは2020年に『誓い』という最初のCDをリリースされていますが、活動を始めたのもその頃ですか?
「そうです。ちょうどコロナ禍でライブハウスが危機的な状況だったので、声をかけていただいて無観客ライブをやってみたところ、お客さんを勇気づけたり、みんなのストレス発散になったりすることがわかったので定期的にやるようになったんです。コロナ禍が落ち着いたから自分の活動も落ち着くかと思ったら、〈そのままツアーをしちゃおうよ〉と言ってもらい、それからツアーがやめられなくなっちゃいました(笑)」
――ユニット名の〈イシュタール〉はWikipediaによると古代メソポタミアの愛と美の女神で、戦・豊穣・金星・王権など多くの神性を持つ、と説明されています。名前の由来を教えていただけますか?
「かなりぶっ飛んだ話ですけど大丈夫ですか(笑)? 夢の中で、次のプロジェクトに〈エシュタルゲ〉という音を使いなさいって命を受けたんです。でもその音に一致するものがなくて、いちばん近いのが〈イシュタール〉だったんですね。その夢で言われたのは、曲を通して愛や自分の能力に目覚める人がたくさんいるから、そういう人たちにあなたの曲が届く、といった内容でした。じゃあ、その目印にさせてもらおうと思って〈イシュタール〉と名前をつけたんです。
それと私は詳しくありませんが、ホロスコープを見る方によると、金星を表す言葉とイシュタールの曲はすごく近いそうです。その他にも〈それ、日本神話にあるよ〉と教えてもらったり、自分が見たビジョンがどんどん色々なことや歴史に紐づいていったんですね。イシュタールの音楽は自分のルーツや自身の奥に眠っている素晴らしさに気づく一つのきっかけ、その旗振り役だなって思います。
超次元トリッパー☆イシュタールってふざけた名前ですよね(笑)。周りには大反対されました(笑)」
――イシュタールはバンドではなく〈音楽ギルド〉とされていますね。
「私が先頭に立ってみんなを引き連れていくイメージがなかったからですね。自分が何のために歌うかを考えた時、インスピレーションを受け取った人の気づきや目覚めるきっかけになる、人のサポートになることだと思ったんです。
だからイシュタールではいつも、みんなに〈活躍してください〉と言っています。みんなが世の中のために働いて、宇宙の中で活躍する応援を私がしますって。そのために勇気づけるものをお届けできたらと思い、〈音楽ギルド〉としています」
――オーディエンスやリスナーもギルドの一員ということですね。
「はい。ライブでも〈今日はこういう気が流れているから、こう思うと宇宙への貢献になるよ〉と伝えたり、ジャンプなどで実際に行動してもらったり、一つの流れ中で共感しながら楽しんでもらっています」