
〈SUMMER SONIC 2026〉での来日公演が話題になり、9年ぶりとなるニューアルバムのリリースも控えているというジャミロクワイ。彼らの3rdアルバムにして代表作『Travelling Without Moving』がリリースされたのは1996年8月28日で、30周年を迎えた。そこで今回はジャミロクワイをリスペクトするミュージッシャンTHE CHARM PARKに本作について特別寄稿してもらった。
兄の車で聴いたカセットから感じた〈本物感〉
初めてジャミロクワイの音楽をちゃんと聴いた時のことは未だにはっきり覚えております。2003年の夏、サマースクールからの帰り、兄の壊れかけの車でミックステープがかかっていまして、“Emergency On Planet Earth”、“Space Cowboy”、“Stillness In Time”、“Virtual Insanity”が順番に流れておりました。スピーカーシステムが全然良くない車でも、さらにチープな音になったカセットテープだったにもかかわらず〈気持ち良い〉と思っていた覚えがあります。
今とは違い、どこの国の人かどんな姿の人か分からないまま音楽を聴いていたあの時代は、想像も膨らむし、音楽により神秘感があってとても良かったと思ってしまいます。初めて聴いてから数年間、ジャミロクワイは昔の黒人シンガーかと思っていました(笑)。
当時、尋常じゃない音量の音楽が流行っていましたが、それらに比べると割と落ち着いた音色や音量の仕上がりも、今考えると飾り気のない本物感があってとても良かった気がします。ジャミロクワイの曲が流れるたびにステレオのボリュームを上げないといけない現象は何度も起こりましたが(サブスクではリマスター盤が主流になっており、良い塩梅の音量になっている気がします)。
大学生時代にカバーした“High Times”の絶妙さ
そんな出会いに始まり、『Travelling Without Moving』のアルバムは大学生になってから友人のCDを借りてちゃんと聴くことができました。リアルタイムでは聴けなかったにもかかわらず、運良く過去作品の流れから聴けたこのアルバムは、ジャミロクワイの良さを思う存分活かしつつも新しい要素が加わっており、新旧のリスナーを問わない良い作品になっていると当時も今も思っております。
曲順に関しても起伏があり、このまま再現ライブが開催されても心地よさそうで、最初から最後まで流した方がむしろ気持ち良い作品になっております。
当時ギタリスト志望の僕がピックアップしたのは“High Times”。ソロの内容や音色の曲との相性が絶妙で、大学時代にジャミロクワイがカバーされる機会があってもこの曲が選曲されないのが残念だと思った悔しさが未だに残っています。
スチュアート・ゼンダーとのセッションでグルーヴに感動
数年前、コーライティングセッションでベースのスチュアート・ゼンダーとご一緒する機会がありまして、スタジオに置いてあったベースをパソコンにそのまま繋いで弾いてもらいましたが、作っていた曲が一気にこのアルバムのグルーヴ感になって感心した思い出もあります。当然のことかもしれませんが、いくらテクノロジーで色々なものを作れる時代になりつつあっても、音楽はミュージシャンが作り出すものだと改めて感じさせてくれた一日でした。
まるで理想の人生のように、自然な流れで無理せず変わらずに進化していくのが自分が思う理想のアーティストだと思っておりますが、それはつまり〈Travelling Without Moving〉。このアルバムはまさにタイトル通りの名盤だと思っています。30年前にリリースされたとは思えない色褪せない音楽で、数十年後にも色々な人に届いて語られることは間違いないと思っております。
PROFILE: THE CHARM PARK

シンガーソングライターCharmによるソロユニット。韓国・ソウル生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。作詞作曲、ギター・ベース・鍵盤・プログラミングを操るマルチプレイヤー。叙情的で美しい音世界とオーガニックかつダイナミックな楽曲のスケール、緻密なメロディセンスとアレンジで注目を集める〈ポップス職人〉。自身の作品とは別に、数多くのアーティストへの楽曲提供や映画やアニメの主題歌、CMソングなど様々な分野で作品を手掛けるクリエイターとしての側面も併せ持つ。8~24歳までアメリカで過ごし、2015年からソロ活動を本格的にスタートさせた。ASIAN KUNG-FU GENERATION、V6、登坂広臣(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、渋谷すばる、森崎ウィン、大橋トリオなど多くのアーティストへの楽曲提供やプロデュースでも話題を集め、近年はヒグチアイ、BLUE ENCOUNT、fox capture plan、Nornis、fifi légerなど多数のアーティスト・プロジェクトに参加。2023年11月に2年ぶりのフルアルバム『THE CHARM PARK II』をリリース。初のファンイベントの開催し、6月に公開された映画「オレンジ・ランプ」(貫地谷しほり × 和田正人のW主演)の主題歌を担当。ジャンク フジヤマとのコラボシングルを発売し、ジェシー・ハリスと共演するなど幅広い活動を展開。2025年は11月にソロ活動10周年を迎えるに当たり、全国47都道府県を回る〈Second Nature Tour〉を精力的に実施しながら、並行して2025~2026年にかけて〈配信シングル連続リリース〉企画を実施。集大成の10周年記念LIVE〈+〉を東京、大阪で開催し、ソールドアウトの大盛況で終えた。最近は車のサブスク〈KINTO〉(トヨタ)のCMに提供した曲がネットで話題となり、“Stroll”というオリジナル作品として完成させ、『THE CHARM PARK III』に収録される。また現在、Amazon Flex CM(サッカー日本代表・長友佑都選手がAmazon Flexデリバリーパートナーの1日に密着バージョン)に未発表音源が起用されている。
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