当時の最新テクノロジーを駆使した、音響芸術作品としての歴史的な価値も高い復刻版

 1968年に日本に創設されたCBSソニー・レコードから当初LPが発売された『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』(1966年)が、SACDハイブリッド盤として復刻された。CD層には2014年のリマスター、SACD層には26年のリマスターが採用されている。ただし、当時の日本盤LP同様、オレンジ色の枠の帯には〈サイモンとガーファンクル〉という文字が躍っている。今ではデュオは、一般的に〈&〉と表記される。ちなみに僕が初めて買った彼らの日本盤は、72年に発売されたLP2枚組のベストだが、それもサイモンとガーファンクルという表記だった。

SIMON & GARFUNKEL 『Parsley, Sage, Rosemary And Thyme』 Columbia/Legacy/ソニー(1966)

 今回は7インチ紙ジャケット仕様だけに、同サイズのブックレットに加えて、“スカボロー・フェア”と“早くうちへ帰りたい”の日本盤シングルの復刻ジャケットが封入されている。“スカボロー・フェア”は、67年の映画「卒業」(日本公開は68年)に使用され、評判を呼んだ。こうした旨が、日本盤シングルのライナーノーツに記されている。なお、4種類のハーブを並べたアルバム・タイトルは、同曲の歌詞から取られている。

 このサード・アルバムは、当時の最新テクノロジーである8トラックの技術を使って録音された。よって、音響芸術作品としての歴史的な評価が高い。また、“簡単で散漫な演説”には〈レニー・ブルースから真実を学んだ〉という一節が織り込まれている。彼の名前は、“7時のニュース/きよしこの夜”でウォルター・クロンカイトが読み上げるニュースの中にも登場する。本作は、この過激な風刺を効かせたネタで人気を博したスタンダップ・コメディアンに捧げられている。当時のレニー・ブルースは、ひとことで言うと、言論の自由の象徴だった。『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』には、こんな〈サイモンとガーファンクル〉のスタジオ録音に対する先進性とリベラルな政治的意識が鮮やかに刻まれている。