總水とおまが提唱する〈メディテーションロック〉とは?
――そして、本作のサウンドは〈メディテーションロック〉と銘打たれています。一般的にロックと瞑想はあまり結びつかないと思うのですが、どういったコンセプトなのでしょう?
「元々それをやりたかったわけではなく、現象が起こって初めて〈おかしいな〉と思った流れなんです。ライブにいらした方の中で、音楽にノりながら違う動きしていた方が一人だけいたんですね。なんだろうな?と思ってステージから見ていたら、寝ていたんですよ(笑)。
その後、そういう方が何人か現れ、〈なんでかあの瞬間、私は鳥取砂丘にいました!〉というようなお手紙をもらって。あるビジョンを見て〈今世では子どもたちのために働くって決めたんだった〉と思い出して幼稚園や小学校の先生になった方がいたり、ライブ会場の椅子の上で座禅を組んでいる方がいたり、お忍びで位の高い神社の宮司さんがいらっしゃったり。〈これってロックというかメディテーションだね〉と気づかされてからライブの前列で寝る方が増え、〈布団エリアを用意してほしい〉なんて言われています(笑)。
〈メディテーションロック〉ということにすればみんなに堂々と〈寝て楽しんでもいいんだ〉と思ってもらえるかな、と考えて名前をつけました」
――一般的な感覚では、ロックのライブで寝るなんて!?と思っちゃいますね(笑)。
「私もそう思っていましたし、最初は悲しかったです(笑)。つまんないのかな? 誰かに無理やり連れて来られたのかな?って。でも〈メディテーションロック〉というコンセプトを作ってしまえば、新しい楽しみや遊びにできるんですね。よかったら検証しに来てください(笑)」
次世代のため畑を耕し種を蒔く
――アルバムは前半と後半で雰囲気が変わると感じましたが、構成は意識しましたか?
「ストーリーに沿って曲を置いていっただけなのですが、そう言っていただけて嬉しいです。432Hzに移行しているので、新しい時代の扉が開くところから始まり、〈みなさん、自分の人生という旅をしてきましたが、自身の奥深いところにある愛に触れるタイミングが来ましたよ。そのまま羽ばたいてください〉と伝える――大きく言うとそんな流れです。あとは聴いた方の中で自身のストーリーになったらいいなと思います」
――4曲目の“謎と鍵”まではアグレッシブな曲が続き、歌詞も警告するような言葉が多くて、5曲目の“愛する虹へ”から聴き手を勇気づけて包み込むような雰囲気になっていく印象でした。
「おっしゃる通りですね。〈誰かが何とかしてくれるわけじゃなく、自ら最初に声を上げよう〉と伝えるために〈歌声を取り戻せ〉というフレーズを入れています。
“謎と鍵”は〈自分の中にヒントがあるよ〉と伝えたい曲で、自身の中にある鍵を取り戻した時、新しい世界が開いていく、という歌ですね。その新しい世界は誰かにお願いするもの、誰かが作ってくれるものじゃなく、自分たちで想像しませんか?と」
――最後の“それでもぼくらは種をまく”は未来への希望や自身がいなくなったあとの世界すら想像させる曲で、パワーをもらえますね。
「嬉しいです。1曲目から言っていることはあまり変わっていないんです。いまニュースを見ていても世界がどっちに転ぶかわからない状況ですが、その中でも明日に期待をしよう、と歌っています。明日への希望を持たない限りそれはやって来ないし、明日のために誰かが種を蒔いておかないと次世代に渡せるものがないよって。
そのメッセージは1枚目から入れていて、〈私たちが花を咲かせ、私たちのうしろを歩いてくる人たちを迎え入れよう〉というのは変わっていないコンセプトです」
――それと總水さんの音楽には、ただ希望を与えるだけじゃなく〈ちゃんと現実を見よう〉と促す面もあると思ったんですよね。
「それは自分にとっても強みだと思っています。見えたビジョンを提供するだけじゃなく、それをどう使うかが私にとって楽しいことで、興味があることなので。〈みんな、まだ力を発揮していないよ〉って幼少期からずっと思っているんです。だからそれを伝えて、その音叉と同じ音に共鳴してくれた人たちが一歩を踏み出してくれるだけで、違うものが引き出されるなって」
――“それでもぼくらは種をまく”は輪廻転承や自然界のエコサイクルに対する視点も感じました。
「はい。歴史は大事だと思います。親や先祖など前の世代が虐げられてきたとしたら、私たちはそれを引き継いじゃいけない。〈親たちのために〉と過去の延長線上で戦ってしまっては、いまを見ることができません。古い体制は私たちの世代が鎖を外さなきゃダメだと思います。
種を蒔いて増やしていくことを積極的にすることが、本当に命を繋ぐことなんじゃないかな。自分だけの命を守ろうとせず、次世代のために畑を耕して種を蒔く。自分たちは収穫できないかもしれないけれど、収穫はあとの人たちに任せてもいいんじゃないかなって、そんな思いを込めました。
たくさんの人に参加してもらいたい曲になったので、お客さんの中で手を挙げてくださった50人の方に歌っていただいています」
――50人!? すごい人数ですね。
「大変でした(笑)。小学生も中学生も参加してもらっています。みんな歌詞にすごく共感してくれて、明るい声で歌ってくれたのを聴いて、やってよかったなと思いました」