
俺は今こう思っているけど、みんなはどう?
――“波紋-HAMON-”はラウドなバンドサウンドだけでも相当分厚いのですが、そこにコーラスや管楽器も入っていて、かなり振り切った曲ですよね。
「カオスです(笑)。何メロまであるかわからない構成になっていますね。間奏は管楽器で踊るイメージがあって、何曲かリファレンスを集めていきました。あと口笛を入れるアイデアを提案したり、イントロはあえて劇的に入りたかったり。
〈曲ガラネバ世渡ラレヌ〉という歌詞のところにチリーンって音が入っているのですが、あのチリーンを入れるのに1週間かかりました(笑)。作家の方たちと〈こんな感じ?〉〈いや違う〉〈ちょっと除夜の鐘を入れてみる?〉と何度もやりとりしましたね。最終的に、あるCMを見て〈この音だ!〉と思ってそれが何の音かを検索して、その音を作家の方に送って、3~4つ音を重ねて作りました。
波紋から曼荼羅に派生して、そこから幾何学模様みたいなイメージに広げると宇宙を感じたりするんですよね。そういったことから、ライブの演出も考えながら歌詞を膨らませていきました」
――世の中の正論に惑わされず、自分の意志や感性を大事にすることや炎を燃やし続けることが描かれている歌詞だと感じました。
「例えば芸能人が何かをすると、SNSでは正論が振りかざされ、叩きまくられる風潮がありますよね。でもそれは、その人が正義だと思っていることが傍からしたら悪だったりしますし、逆もしかりです。そういうことに対して、すっきりしないなと思っていることをエンタメに落とし込まないといけないって。そう思って書いた曲です。
疑問を投げかけるようなイメージの歌詞ですね。受け取った人が〈あのことを言っているのかな〉とか〈私もそういうことをしていたかも〉と感じてくれたらいいなって。言葉にはしていないけど、もやもやとしたものを感じている人もいるだろうし。そういう意味で〈波紋-HAMON-〉というタイトルにしました」
――そういうことを日常的に北山さんは考えているんですか?
「僕が常にこういう思想を持っているっていうことではなく、その都度思っていることをアウトプットしているという感じですね。〈俺は今こう思っているんだけど、みんなはどう思う?〉って。
権力がある人の意見に流されそうになっても言わなきゃいけないことがあるときもあるし、その権力の上に胡坐をかいている人もいるだろうし。それで〈己のバカなプライドを壊せる強さを〉という歌詞を書いて。〈己のプライド〉という言葉にハッとしてくれる人がいたり、それで波紋が広がったりするような曲になったらいいですね」
――これだけカオスなサウンドだと、歌詞もある程度強いものの方がハマりが良いですよね。
「それもありました。アルバムのリード曲ですし、ちゃんとフックになる言葉を入れるように意識はしましたね。曲によっては言葉が流れていく方が気持ちいい場合もあるけど、この曲は流さずにガッといくような歌詞にしたんです。〈やってんな!〉っていうフレーズもフックとして書いていますね」

アドレナリンがドバドバ
――3曲目の“ADrenaline”もタイトルからしてぶちかますような曲ですよね。
「そうですね。サビはアドレナリンがドバドバ出るような歌い方をしたんですが、歌詞の〈独白〉が〈ドバドバ〉と空耳で聞こえるように意識しました。その歌詞の後の〈身体中にかき鳴らす 雷電のようなアドレナリン〉というところは、ぐわっと衝撃が来るようなイメージがあって。ライブでの振りに落としたときに結構映えるパートになると思って、そういうアプローチにしました」
――ボーカルがかなり加工されていることで、より攻撃力が増しています。
「ずっと拡声器を使っているイメージでオーダーしました。ライブでは、もしかしたら僕以外のダンサーたちが全員拡声器を持って行進する、みたいな演出にするかもしれません。そういう映像が浮かんだので、それに合わせて歌詞を書き直して、アレンジの方向性を詰めていきました」
――“奪還メラメラ”は、まさにメラメラ燃えているようなサウンドデザインと歌詞です。
「これは、俺が面白いと思った曲をリファレンスで挙げて作り始めたのかな。そこからアレンジを詰めていって」
――2番のラップは結構おどろおどろしいですよね。
「その辺のアレンジも、自分のイメージをもとに膨らませていきましたね」
――〈欲しいものは絶対に手に入れるんだ〉という歌詞からサビに移行するときに〈うーん〉と踏ん張るところが、かなりフックになっていますよね。
「ここは芝居力みたいなものが試されるなって思いましたね。実は、歌い手の方の曲をリファレンスにしてて。なのでタイトルも、歌い手の方の曲にありそうなものにしましたね」