ロッキング・オン・グループ代表取締役会長の渋谷陽一が死去した。74歳だった。

この訃報は本日7月22日に同社より発表された。発表された文面は以下のとおり。

ロッキング・オン・グループ（株式会社ロッキング・オン・ホールディングス、株式会社ロッキング・オン、株式会社ロッキング・オン・ジャパン）代表取締役会長渋谷陽一は、7月14日（月）未明に永眠いたしました。
ここに生前のご厚誼に深謝し、謹んでお知らせ申し上げます。

渋谷は2023年11月に脳出血を発症し、緊急入院いたしました。手術後は療養を続けながらリハビリに取り組んでおりましたが、今年に入り誤嚥性肺炎を併発、74年の生涯を終えました。

1972年に20歳で『rockin’on』を創刊した渋谷は、音楽評論家・編集者・ラジオDJ・フェスプロデューサーとして多方面にわたり活動してまいりました。渋谷の活動を応援してくださった読者・参加者・各関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

なお、葬儀は故人の意向により、近親者のみで執り行いました。
誠に恐れ入りますが、御香典・御供花・御供物・御弔電につきましては辞退申し上げますことをご了承ください。

2025年7月22日
ロッキング・オン・グループ

1951年6月9日、東京都新宿区に生まれた渋谷は、19歳で「ミュージック・ライフ」誌にて音楽評論家としてデビューする。2​0歳のときに個人事業として松村雄策、岩谷宏、橘川幸夫、大久保青志らとともに洋楽ロック批評・投稿誌「rockin’on」を創刊した。

評論家、編集者以外にラジオDJとしても活躍した渋谷は、NHKラジオ第1放送で「若いこだま」、NHK-FMでは「ヤングジョッキー」「サウンドストリート」「ワールドロックナウ」といった番組でDJを務めた。

1986年、邦楽ロック批評誌「ROCKIN’ON JAPAN」を創刊。その後も「CUT」「H」「SIGHT」「SIGHT ART」などカルチャー全般や美術などを取り上げた専門誌を多数生み出していった。

また、2000年にはプロデューサーとして大型ロックフェス〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL〉を初開催。以降も〈COUNTDOWN JAPAN〉や〈JAPAN JAM〉のほか、坂本龍一をオーガナイザーとした脱原発フェス〈NO NUKES〉を始動させるなど、フェスプロデューサーとしてもその手腕を発揮した。

ジミー・ペイジやサザンオールスターズなど名だたるアーティストのインタビュアーを務めたほか、編集者・書き手として音楽批評の枠を広げ、またフェス文化の発展にも尽力した渋谷陽一。彼のもとで育った多くの人材は現在もライターや編集者として多方面で活躍していることを考えると、その影響力は計り知れない。そうした渋谷の功績はこの先もきっと語り継がれていくだろう。