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〈若い魂〉が共鳴した海外新世代との交流

──アメリカツアーでの反応はいかがでしたか?

「わりと広く回ったんですよ。昨年10月下旬から2週間半ほどかけて、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、ニューヨーク、シカゴ、ボストンといった都市を回りました。移動は主に車で、特にカリフォルニアあたりは本当に何もない道を延々と走って、街から街へ……という感じでした。

どこへ行っても、お客さんは本当に温かく迎えてくれて。だいたい15歳から25歳くらいの、若い世代の子たちが多かったですね。すごく完成された感性というか、ピュアでまっすぐな反応が印象的で。MCもちゃんと耳を傾けてくれて、〈伝えようとしていることを真剣に受け取ってくれているな〉と感じました。ちょうどハロウィンの日がワシントンD.C.の公演だったんですけど、仮装してライブに来てくれたお客さんもいて。そんな特別な日に、私のライブを選んでくれたことが本当に嬉しかったです。

日本語の歌詞が少ないので日本ではあまり理解されない部分ですが、海外のファンは詞をしっかりと聴いてくれているようでした。私の曲を聴いて〈生きる希望が湧いた〉というメッセージをもらったこともありましたね。ちょっとメンヘラっぽいファンが多いようです(笑)」

──彼らがその他にどんな音楽を聴いているのか、話を聞いたりしました?

「話をした限りでは、やはりSpotify経由で私の音楽を知ったという人が多かったですね。Spotifyって、いわゆるシニア世代のアーティストや、過去の音楽をレコメンドしてくれる機能があるじゃないですか。たぶん、そういう流れで私の曲にも辿り着いたのかなと。アルゴリズムが時代をシャッフルして、思いがけない曲を若い世代に届けてくれる──その現象自体、とても面白いなと感じています」

──『SHYNESS』の前作にあたる『MELTING MOMENT』(1992年)も、若い世代から高い支持を集めているアルバムです。例えばPitchforkのレビューでは〈ロマンティシズム〉の側面が特に評価されていました。さきほどの詩の話とも通じますが、その点はいかがでしょうか?

「Pitchforkの記事は、正直ちょっと驚きましたね。実はあまり知らなかったんですよ、〈Pitchforkって何?〉みたいな(笑)。でもまわりの友達が〈え、9点!?〉と騒いでいて、そこで初めて〈あ、これはすごいことなんだ〉と知りました。でも、あのレビューの文章は本当に綺麗で、びっくりするくらい丁寧に作品を受け取ってくれていて。ありがたいというか、純粋に嬉しかったです。

POiSON GiRL FRiENDの曲は、私が本当に若い頃、自分の〈若い魂〉で作ったものなんですよね。だからこそ、今の若い世代にもまっすぐ届いているのかなと思います。それが国を越えて伝わったというのも、なんだかとても面白いなと感じていて。内面的な部分で言えば──これはモーマスとも少し共通しているかもしれませんが──私も彼も、どちらかというと内向的で、暗いところを抱えているタイプです。いつも自分自身との戦いがあって、外に向かうよりも、自分の中のモヤモヤや葛藤に自然と向き合ってしまう。そういう感情がそのまま音楽になっていった、という感じなのだと思います」

――以前のインタビューではセガ・ボデガが好きだとおっしゃっていましたが、今どんなアーティストに注目されていますか?

「有名ではありませんが、トゥウィークス(TWEAKS)って若い女の子が最近のお気に入りですね。トリップホップのような音楽性です。アメリカへ行ったときにカナダの大学生が取材しに来てくれて、そのときにも彼女の名前を挙げました。あと、サラミ・ローズ・ジョー・ルイスが好きなんですよね」

――イギリスのアーロ・パークスがPOiSON GiRL FRiENDをお気に入りの音楽に挙げていたそうですね。

「セガの紹介でアースイーターとパリで会ったとき、〈あなたのファンなの!〉と言われてびっくりしました。私もアースイーターの音楽は好きなんですよね」

──もうすぐヨーロッパツアーも控えているんですよね。どの都市を回る予定ですか?

「今回はグラスゴー、マンチェスター、ベルリン、そしてワルシャワを回る予定です。グラスゴーでは、ザ・パステルズが運営しているモノというレコードショップ兼カフェでのライブが決まっていて。まだ行ったことがないので、どんな場所なのかすごく楽しみなんです。それにしても、もう来月なんですよね。最近のヨーロッパは本当に暑くて、場所によっては40度近くまで上がることもあるらしくて……そのあたりはちょっと心配です(笑)」

──今はどんなモードで音楽活動をされているんでしょうか?

「ちょうど去年くらいから、〈自分の過去に責任を取る時代に入ったな〉と感じていて。やっぱり昔の作品というのは、今でもツアーでは必ず求められるんですよね。たとえ新曲を中心にセットリストを組んだとしても、それだけじゃ物足りないというか、聴きたいと思ってくれている方がたくさんいて。なので、過去の自分の作品とちゃんと向き合っていこうと決めて、去年、そして今年と活動してきました。

でも来年あたりには、もう少し新しいことにも挑戦したいな、という気持ちは強くなっています。まあ、簡単なことではないんですけど(笑)」

 


RELEASE INFORMATION

POiSON GiRL FRiEND 『SHYNESS』 NIPPONOPHONE/コロムビア(2025)

イギリスのアーティスト、モーマスがプロデュースし、サイモン・ターナーやルイ・フィリップも参加したPOiSON GiRL FRiENDの1stフルアルバム。ボーナストラックとして、ミニアルバム『Mr. Polyglot Remix』(1993年9月リリース)の5曲に加え、“MONCHE”“NOBODY”の未発表バージョンを収録
Arranged and Produced by Momus
オリジナルリリース:1993年7月21日(COCY-75490)

■CD
リリース日:2025年8月2日(金)
品番:COCP-42495
価格:2,530円(税込)

TRACKLIST
1. MADAME DE SADE
2. MISTER POLYGLOT
3. PURE SELFISHNESS
4. MULTIPLE CHOICE
5. DADDY MY DEAR
6. MONCHE
7. MORE I SEE
8. SHYNESS
9. DOOMED LOVE
10. THE END OF HISTORY
11. NOBODY

Bonus Tracks
12. Mr. Polyglot - radio reconstruction mix (from『Mr. Polyglot Remix』)
13. Dreamer’s Ball (from『Mr. Polyglot Remix』)
14. Dreamer’s Ball - hysteric ball mix (from『Mr. Polyglot Remix』)
15. Heidi (from『Mr. Polyglot Remix』)
16. It’s Impossible (from『Mr. Polyglot Remix』)
17. MONCHE - choppy mix (Unreleased)
18. NOBODY – intimate mix (Unreleased)

■LP

リリース日:2025年8月2日(金)
品番:COJA-9542
価格:4,620円(税込)

TRACKLIST
Side A
1. MADAME DE SADE
2. MISTER POLYGLOT
3. PURE SELFISHNESS
4. MULTIPLE CHOICE
5. DADDY MY DEAR

Side B
1. MONCHE
2. MORE I SEE
3. SHYNESS
4. DOOMED LOVE
5. THE END OF HISTORY
6. NOBODY

■MT

リリース日:2024年10月14日(月)
品番:COTA-5533
価格:2,530円(税込)

Side A
1. MADAME DE SADE
2. MISTER POLYGLOT
3. PURE SELFISHNESS
4. MULTIPLE CHOICE
5. DADDY MY DEAR

Side B
1. MONCHE
2. MORE I SEE
3. SHYNESS
4. DOOMED LOVE
5. THE END OF HISTORY
6. NOBODY

 

POiSON GiRL FRiEND 『LOVE ME』 NIPPONOPHONE/コロムビア(2025)

セルフプロデュースで自らのアーティストカラーを色濃く投影した2ndフルアルバム。ミシェル・ポルナレフ“Love Me, Please Love Me”のカバーを収録。2024年10月にデジタルリリースされた最新曲“The October Country”と、1994年のコンピレーション収録用に録音されたNoriko名義でのフレンチポップカバー2曲を追加収録。
Produced and Mixed by POiSON GiRL FRiEND
オリジナルリリース:1994年12月1日(COCY-78362)

■CD
リリース日:2025年8月2日(金)
品番:COCP-42496
価格:2,530円(税込)

TRACKLIST
1. Passage Brady
2. Love Is...
3. Histoire d’O
4. Love Me, Please Love Me
5. Slave to The Computer
6. If You Wish
7. Ouragan (edit)
8. Tout est Rouge
9. Communication Breakdown (edit)
10. Secret Track

Bonus Tracks
11. The October Country (2024年新曲)
12. Tout, tout pour ma chérie (from 『プロヴァンスの休日』)
13. Un homme et une femme (from 『プロヴァンスの休日』)

■LP

リリース日:2025年8月2日(金)
品番:COJA-9543
価格:4,620円(税込)

TRACKLIST
Side A
1. Passage Brady
2. Love Is...
3. Histoire d’O
4. Love Me, Please Love Me

Side B
1. Slave to The Computer
2. If You Wish
3. Ouragan (edit)
4. Tout est Rouge
5. Communication Breakdown (edit)
6. Secret Track

■MT

リリース日:2024年10月14日(月)
品番:COTA-5534
価格:2,530

TRACKLIST
Side A
1. Passage Brady
2. Love Is...
3. Histoire d’O
4. Love Me, Please Love Me

Side B
1. Slave to The Computer
2. If You Wish
3. Ouragan
4. Tout est Rouge
5. Communication Breakdown
6. Secret Track

 


PROFILE: POiSON GiRL FRiEND (nOrikO)
幼少の頃をブラジルのリオ・デ・ジャネイロで過ごす。1990年、東京・六本木Paradiso、白金台Giger BarでレギュラーDJを始める。1992年、ビクターよりCDデビュー。1990年代後半はテクノハウスユニット、Kiss_O_maticとしてフロア向け作品をリリース。2000年から2004年までフランスのストラスブールへ渡り、フランスを学ぶ。帰国後からライブやDJ活動を再開。近年は英国のNTSラジオへの出演、アメリカでのカセットリリース、複数の海外アーティストとのコラボレーション制作、中国でのライブ開催など活躍の場をグローバルに広げており、2024年には北米10か所でのツアーを成功させた。
POiSON GiRL FRiEND 公式:https://linktr.ee/poisongirlfriend_official
日本コロムビア アーティストHP:https://columbia.jp/artist-info/poisongirlfriend/