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何もない田舎で私はギターを始め、この町に生かされている

――“フィールドアンドサンセット”は、90年代や2000年代のオルタナティブロックの影響を感じました。

山路「この曲は、2000年代くらいのバンドみたいな曲を作りたいと思っていて。そのなかでももっとも影響が大きかったのは、ブッチャーズ(bloodthirsty butchers)です。ときどきブッチャーズしか聴かないくらいハマる時期が来るんですけど、そのときに書いた曲ですね」

――ブッチャーズは北海道のバンドじゃないですか。これは私の個人の感覚で統計を取ったわけではないんですけど、西や南のほうのバンドの方々に話を聞くと、北以上にブッチャーズの話が出てくる印象があって。

山路「ブッチャーズは叔父に教えてもらったんですけど、寒い土地だからこその熱があるんじゃないかって言ってました。九州とか暖かい土地だと立たない湯気みたいな。それがカッコいいし、うらやましくもあるよねって、そんな話を2人で熱く語ったことがあります」

――そこにあげはさんの歌とメロディが乗れば奏人心になる。

山路「この曲は自分が住んでいる田舎町のことを歌いました。自然以外はほんとうに何もなくて、そんな土地に転校してきたことも嫌だったし、うまくいかないことは八つ当たりみたいにせんぶ町のせいにしていました」

――ジャケットの話で出てきた都会の福岡市も、住んでいる田舎町も嫌いだった時期があったんですね。

山路「でも、バンドのために福岡市に向かっていたある日、1両しかない電車から見えた夕焼けや畑だらけの景色がとても綺麗に見えて、〈田舎で何もないけど、なんだかんだここでギターを始めて、今もバンド活動を続けているんだな。ここで感じたことを曲にしてるんだな〉と思ったら、私は八つ当たりしていた町に生かされているんじゃないかって思ったんです。〈もう嫌いじゃないよ、ありがとう〉みたいな気持ちを歌詞にしました。もしかしたら、それが大人になるっていうことの第一歩かもしれないですね」

 

ゴールが見えない状態で衝動や感情をぶつけ合ったからこそ生まれた音

――“sin”は途中でテンポの変わる2部構成のような曲です。

永松「この曲だけは弾き語りではなくて、前作のやり方、半分ゴールが見えていない状態のまま、お互いの衝動やフィーリングをスタジオでぶつけるからこそ生まれる勢い重視の方法で作りました。

展開がガラッと変わって高まっていく感じで、テンポが変わるところも倍速になるわけではないから難しそうだなって思いましたが、やってみたらうまくいきましたね」

――ライブだとさらに難しそうですが、どんな感じで合わせるのですか?

永松「テンポの変わるところ、僕は前のめりに突っ込みがちなんですけど、そこはドラムがうまく指揮をとってくれます。ドラムを中心にしたその瞬間の感覚で合わせていますね」

今橋「急に展開が変わるので、その一発目でグラグラしたら終わり。いかにその場の空気を掴んで気持ちいいポイントでいけるか、っていう感じですね」

 

東京での初ライブも、僕らの音で真っ白なキャンバスに絵を描くことは変わらない

――みなさんが思う、このEPの魅力とは?

山路「〈もっとこうしたい〉っていう気持が止まらないなかで、今、自分たちの表現したいことを突き詰めたEPになりました。この先、自分たちがどんな音楽性になっていくのかまだわからないけど、間違いなくこの瞬間にしか撮れない1枚の写真のような作品になったと思うので、ぜひ聴いてください」

永松「あげはの言ったように、この先どんな作品ができるのかはまだわからないし、僕らはきっといろんなことをやっていくと思いますけど、この4曲はこれから生まれる広がりの根っこのような作品だと思います」

今橋「現段階で自分が出せるものはすべて出しました。前のEPと比べると自分たちの成長も感じますし、グレードアップした部分を感じてもらうのもひとつのおもしろさだと思います」

――そして東京では初となる下北沢THREEでのワンマンライブももうすぐです。

山路「シーンのことも街のことも何も知らないから、難しいことを考えたり、変にプレッシャーを感じても仕方がないと思ってて。そういう意味では、そのままの奏人心を観てもらえるかと思います」

永松「東京は特別な場所だと思っています。でも場所がどこであっても、僕らの音で真っ白なキャンバスに線を描いて色を塗ることに変わりはないし、東京ではまだ誰も見たことのない奏人心だからこその絵をお見せできると思います」

 


RELEASE INFORMATION

奏人心 『風がゆく若色の街』 Beat Happy/FORLIFE SONGS(2025)

リリース日:2025年8月6日(水)

TRACKLIST
1. それがすべて
作詞・作曲 山路あげは 編曲 奏人心
リードボーカル:山路あげは

2. ユース・キャンドル
作詞・作曲 永松有斗夢 編曲 奏人心
リードボーカル:永松有斗夢

3. フィールドアンドサンセット
作詞・作曲 山路あげは 編曲 奏人心
リードボーカル:山路あげは

4. sin
作詞 永松有斗夢 作曲・編曲 奏人心
リードボーカル:永松有斗夢

プロデュース:non-commital
レコーディング&ミックスエンジニア:non-commital
レコーディング&ミックススタジオ:UNKNOWN SOUND STUDIO
マスタリングエンジニア:小泉由香(オレンジ)

ジャケットの漫画:山路あげは

 

LIVE INFORMATION
DONUT Presents 
Imagination ErA 東京
イマジネーションの時代

2025年10月1日(水)東京・下北沢 THREE
開場/開演:18:00/19:00
フリーコンサート(入場時に要1ドリンク代)
整理券必要(電子チケット)
受付プレイガイド:イープラス https://eplus.jp/soutosin-f/
受付・先着発券
※整理券をお持ちでない方は整理券をお持ちの方の後に入場。満員の際はご入場をお断わりする場合がございます
お問い合わせ:下北沢THREE TEL 03-5486-8804 https://www.toos.co.jp/3/

 


PROFILE: 奏人心

福岡で活動するスリーピースロックバンド。永松有斗夢(ベース&ボーカル)、山路あげは(ギター&ボーカル)、今橋一翔(ドラムス)の3人編成。メンバー全員、2025年に20歳になる。思春期の終わり、街で暮らす少年少女の心の景色を詩的な表現と自由なビートで鳴らしている。

2024年11月1日に1st配信シングル“昼でも星は光って”をリリース。同月13日に1st EP『SEARCH感受YOUTH』を499円の4曲入りCDでリリース。同作はスペインのメディアでいち早く取り上げられ、イギリス、ドイツ、イギリス、アメリカ、南米、フランスのラジオ局でオンエアされた。

2025年にライブハウスのフロアで、iPhoneで録った無修正ライブシングルのシリーズを配信リリース。同年5月31日、博多のフェス〈Bayside Music Jamboree 2025〉に出演。7月2日、ニューシングル“それがすべて”を配信リリース。福岡で暮らす10代の女性が映し出した、日常の向こうにある真理を歌った人間賛歌で、山路の生命力漲るボーカルが強烈なインパクトを放つ曲になっている。

8月6日、4曲入りEP『風がゆく若色の街』を配信リリース。“それがすべて”から始まり、思春期の終わりをポップなメロディラインで包みチャーミングでリリカルに綴った“ユース・キャンドル”、〈窮屈な街の中から脱け出すには夢しかない、夢だけが自分の殻を破る〉と歌う“フィールドアンドサンセット”、若いということは無力であることを知り終わることから始まりの光を見つける“sin”を収録。同作は4曲で一つの物語になっており、街で暮らす少年少女の心の景色を鳴らしている。プロデュースは前作同様non-commitalで、UNKNOWN SOUND STUDIOでレコーディングされた。マスタリングは小泉由香(オレンジ)。ジャケットの漫画には街の中を泳ぐ奏人心の3人が描かれており、山路が作画した。

同作の先行シングル“それがすべて”は九州のLOVE FM「HOT20」の週間ランキングで第3位にチャートイン。さらにアメリカ、イギリス、カナダ、スイス、インドネシア、スペイン、フィンランドのメディアで取り上げられ、アメリカのアンカレッジ、フロリダ、ワシントンのラジオ局でローテーションに入った。“ユース・キャンドル”は福岡KBCラジオ8月度パワープレイ(KBC MUSIC SPLASH)に決定した。

8月22日、福岡The Voodoo Loungeで初のワンマンライブを開催。さらに10月1日に下北沢THREEにて東京での初ライブを開催することが決定している。