今年3月に逝去したソ連を代表する作曲家、ソフィア・グバイドゥーリナの追悼アルバムが、ナクソスからリリースされる。ポスト・ショスタコーヴィチ世代の象徴として、ヴォルガ・ドイツのシュニトケ、エストニアのペルトらと共に、デタント期のロシア楽壇を支えた。タタールにルーツを持つ彼女の音楽は、トランス・ウラルの民俗的・宗教的な楽器法と、数理的思考に基づく音響表現とが交錯する。本アルバムは、現代における女性作曲家の系譜において最長老にして、東側の最前衛を切り拓いた彼女の軌跡を辿りつつ、多様な編成による作品を通じて、彼女の音楽に内在する精神性を浮かび上がらせる一枚だ。