ボーダレスに活動するキューバの異才ピアニストが放った新作は、ドイツの実力派ビッグバンドとの共演盤で、アレンジ/指揮はブラジル音楽の巨匠ジャキス・モレレンバウムという注目せざるを得ない一枚。自身の既発アフロ・キューバン・ナンバーを、ゴージャスながら一味違う流麗なビッグバンド・ラテン・ジャズに仕立て直していて、そのメロウかつロマンティックなサウンドに思わずウットリさせられる。

 


これは楽しい! というのがこの『Es:Sensual』、オマール・ソーサとNDRビッグ・バンドが演奏する絶妙なアフロ・キューバン・ジャズ・アルバムの率直な感想だ。そもそもオマールのこういうスタイルでの演奏を聴いたことがなかっただけに新鮮。さらにNDRにオマール、そして編曲はジャキス・モレレンバウムという地球を縦断するかのような企画のスケール感も手伝ってか、ゴージャスな気分にさせてくれる。全曲オマールの作品というのだが、とてもオーセンティックな仕立て具合に驚いた。チャチャ、マンボに跳ねるホーン・セクションの直球の攻めに喜ばないファンはいないだろう。アナログで聴きたいという衝動も、これは許せるかも。