指揮者・吉田裕史によるイタリアオペラに対する愛情を背景にそのイタリアや戦時下ウクライナでの困難活動を通して指揮者としての情熱を吐露している。しばしば歌手や指揮者、オーケストラが良かった悪かった、演出内容の是非の議論が表に出てくるが、本書の面白さはオペラにおける指揮者の本来の役割を詳述していること。作曲家への尊重はありつつそれ以上に時に100に迫る人達を〈サポート〉しつつ、生声での表現なので呼吸や間の取り方の調整、歌声を妨げないなど、2時間以上に及ぶ舞台を終演まで無事に進行させる仕事の魅力を各地の指揮経験を踏まえて熱く伝えている。