今世界が注目! 手兵・ADDA交響楽団との情熱溢れるライヴ

 スペインの指揮者、ジョセップ・ヴィセントが首席指揮者として率いるADDA交響楽団が、色彩豊かでパワフル、しかも妖艶な素晴らしいラヴェル作品集をリリースした。

JOSEP VICENT, ADDA SIMFÒNICA, ORFEÓN DONOSTIARRA 『モーリス・ラヴェル・セレブレーション150』 Warner Classics(2025)

 スペインの地中海沿岸の街アリカンテ市のコンサートホール(Auditorio De La Diputacion De Alicante)を本拠とするオーケストラで、現在スペイン国内においても重要な位置を占めるようになっている。先日日本ツアーが行われた折りにヴィセント自身に直接インタヴューすることができたが、演奏同様、明るい熱気とパワーに満ちた人柄に魅了された。

 「このオーケストラは、自分がオーディションから関わりました。私にはこれまでになかったような、単に質が高いだけでなく、聴衆との関係がエネルギッシュで熱気のあるオーケストラを作りたいという夢がありました。オーディションには世界中から3000人もの人が来てくれました。スペイン国内だけでなく、ウクライナ、ブルガリア、ロシア、アメリカ、南アフリカ、もちろん日本からも。そしてスペイン政府や地元の財団などからの援助を受けて実現したのです」

 ヴィセントとオーケストラはこれまでに15枚以上のアルバムを作っており、チック・コリアのナンバーを交響的に編曲したものやジョン・アダムズなどがあり、またコンサートでは古典から武満、クセナキスの現代音楽も扱う。メンバーを編成する時に彼はどのような規準で構成するのだろう。

 「それぞれが卓越した技術を持っていることは当然です。でも本当に求めていたのはそこではなく、オープンマインドなこと、コミュニケーションが密に取れること、音楽に情熱を持っていること。演奏しながら常にコミュニケーションを取りたいという気持ちがあることが大切です。古典的なものだけでなく、新しい音楽もラテン音楽も映画音楽も扱うので、新しい考え方に対してオープンであることも重要でした」

 ラヴェル・アルバムでも、自由で表現的な演奏が展開する。

 「ラヴェルは官能的で感動的です。そしてあの美しい音色。それらをとても大切に扱いながら演奏したい。レコーディングはいつもライヴをほとんど編集せずに使っているので、ホールや聴衆のエネルギーを感じ取りながら演奏していることがわかると思います。一つのことが次に影響を与えて、それがまた次に……というふうに音楽の全体ができあがっていくことに意味があるのです」

 ヴィセントと彼の手兵が繰り出す彩り豊かな音楽に今後も注目だ。