ポストパンクバンドMs.Machine(2025年に空中分解)のボーカリストとしてキャリアをスタートさせ、現在はソロアーティストとして活動しているSAI LOVEGOOD。2025年はCwondoこと近藤大彗と制作したセルフボースティングと反差別の怒りを込めた“SAI IS KING”をリリース、〈SXSW 2025〉に独力で出演するなど、道なき道をDIYで切り開きつづけている。海外と国内各地を放浪したここ数年の活動は、しかし、困難や苦難にも満ちていたと明かす。

そんなSAI LOVEGOODが、2026年1月28日(水)に東京・新代田FEVERで開催されるイベント〈Sound Trek Vol.2 - Valley Lights -〉に出演する。国内外のフェスに出演経験があるアーティスト、今後シーンでの活躍が期待される注目株が集結するシリーズの最新回で、The Bagpipes、めっちゃ美人、Kommuneとともにひさびさの東京でのライブをおこなう。そこでSAI LOVEGOODは、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか? ライブに向け、文筆家つやちゃんが近年の活動についてじっくりと聞いた。*Mikiki編集部


 

自分の足で海外に来た、自分でステージを作ったという実感

──SAI LOVEGOOD(以下、SAI)さんは、2023年9月にMs.Machineの活動が休止になって以降、ソロ活動を続けられてきましたよね。時間軸は前後しますが、アルバムだと2023年4月に『水中庭園』をリリースしましたけど、あの作品の手応えはいかがでしたか?

「正直、落ち着いて振り返る余裕がなかったかもしれないです。というのも、アルバムリリースとあわせて、北欧ツアーのためのクラウドファンディングを始めて。それでライブをしに行ってたんですよ。ツアー自体は3週間くらいだったかな。だから、あまり国内での反応を知らないんです。同時に海外に行くっていう別の大きいことが走っていたから、身体が二つあっても足りないっていう状態で」

──北欧ツアーはどういう背景があって実現したんですか?

「バンド時代から、海外でライブをやりたいって気持ちがずっとあったんですよ。でも、思ってるだけじゃ実現しないわけで。人脈もないし、誰かが連れてってくれるわけでもないし。

だから、自分でやるしかないなって思ってクラウドファンディングに動きました。そこに向けてリリースも重ねて、走っていった。でも、辛かったですね。DMで〈ライブやりたいです〉って連絡しまくっても、なかなか響かなくて。やっぱり人脈がないと難しいなって、すごく実感しました。結果的にスウェーデンとチェコでライブをやれたことで、〈自分の足で来た〉〈自分でステージを作った〉という実感ができましたね。うまくいかなかったことも含めて、あの経験は大きかったです」

──その後、2024年にかけては、表立った形での活動はスローダウンされた印象です。 

「2024年はワーキングホリデーで海外に行ける最後の年齢だったこともあって、資金を貯めるために働いてて。ニュージーランドに行きましたね」

──音楽活動のモチベーション的にはどういった時期でした?

「2023年は、アルバム『水中庭園』をスペースシャワーからリリースできて、海外でライブをやる夢も叶った。でも、これで景色が変わるのかなと期待していたんですが、思ったより何も起きないな、という感覚だったんですよ。じゃあ次の景色ってどうやって見に行けばいいんだろう?という焦りはありました」

──SAIさんの音楽は、ジャンル分けが非常に難しいですよね。ヒップホップのビートと言えるかもしれないけれど王道のラッパーではもちろんないし、ハードコアがルーツにあるけれどソロではそういうサウンドでもない。ちょうどジャンルの狭間にいるのではと思うんです。

「そうなんですよね。シーンの中での居場所というのはあまりないかも。わかりやすくラッパーっぽい文脈の人たちと自分が同じ場所で共演できるかというとそれはなかなか難しい。結果、イベントに呼ばれるのもバンド系と一緒になることが多くて。そういう葛藤はずっとあります」