伝説に留まることなく更新する姿を刻印したミニ・アルバム『All my LOVE』が到着!! 時代のトレンドも積み重ねる齢も謳歌しながら、6人が音に込めた〈愛のすべて〉とは?
2015年のREBECCA再結成から11年を経て、80年代の活動期間をすでに超えていることに軽い衝撃と深い感慨を覚えている。REBECCAは80年代の申し子と言えるバンドで、同時代の洋楽ヒットと邦ロックとの汽水域に生まれ、東京ドームまで登り詰め、来るべきJ-Popバブルに席を譲るように91年に解散した。〈ロック・バンドの売り方〉が未整理な時代がゆえのドラマティックなバンドのヒストリー、そして“フレンズ”“RASPBERRY DREAM”など大ヒットの数々は、いまも多くの人の心を惹きつけてやまない。
2015年に再結成ライヴを行い、2017年に久々の新曲“恋に堕ちたら”を世に出しつつ、その後はライヴを中心に活動。デビュー40周年にあたる2024年には全国ツアーを開催し、13公演が即完売するという勢いのなか、ツアーで披露した新曲3曲を含むミニ・アルバム『NOSTALGIC NEW WORLD』をリリースした。現在もリアルタイム世代でない新規ファン層を巻き込んだ熱い盛り上がりが続くなか、2年ぶりに登場するのが新曲3曲を含む5曲入りのミニ・アルバム『All my LOVE』だ。現在のラインナップは、NOKKO(ヴォーカル)、土橋安騎夫(キーボード)、高橋教之(ベース)、小田原豊(ドラムス)、長くサポートを務めていた是永巧一(ギター)と中島オバヲ(パーカッション)の6名。最高のメンバーを揃えた2026年のREBECCAは、どんな音を奏でているのだろうか?
1曲目を飾った“All my LOVE”は、ノスタルジックな80’s感の漂うサウンドを現代的にブラッシュアップした、REBECCA流のシティ・ポップだ。ストイックに音数を絞り込み、同じグルーヴをキープするドラムとベース、隙間を埋めるパーカッション、煌めくシンセ、引き算の美学を極めたギターで構築する広い空間を、のびのびと泳ぐNOKKOのヴォーカル。かつての直線的な鋭さやパワーの代わりに、透明感と浮遊感を手に入れた彼女の表現力が素晴らしい。歌詞からはラヴソングに見えるが、恋愛というより人間愛と捉えるべき、不安や悲しみさえも浄化するような包容力を強く感じる。
続く“波とハイタッチ(波ハイ)”は、レゲトンのリズムを取り込んだ野心的なダンス・ナンバー。シンセが作るキャッチーなリフとパーカッションが絡み合い、ファンキーなギター・カッティングが色を添え、NOKKOの歌もぐいぐい前に出る。感情の揺れ動きや人生の物語をフリークエンシー(周波数)と表す言語感覚がNOKKOらしい。3曲目“Cosmic SUZUMUSHI”はもっとも80年代のREBECCAを彷彿させる一曲で、溌剌と若々しい歌を聴くことができる。どことなくナイアガラ・サウンドを思わせるベースラインやシンセのリフを散りばめ、世代を超えて愛されるだろう楽曲だ。離れていてもあなたを思っているという、愛を込めたメッセージを歌い上げ、鈴虫の儚げな鳴き声で終わってゆくエンディングも素敵。残るは“真夏の雨”(87年のシングル“NERVOUS BUT GLAMOROUS”のカップリング)、“LONELY BUTTERFLY”(86年作『TIME』収録)のスタジオ・ライヴ・ヴァージョン。充実した演奏、生々しいヴォーカルが聴きどころな2曲は、10月から始まる〈Cosmic Autonomy Tour 2026-2027〉への予習にぴったりだ。
REBECCA王道のサウンドは往年のファンを、シティ・ポップやレゲトンなどへの挑戦は新規リスナーを、同時に歓喜させるだろう。伝説のバンドではない。REBECCAは2026年を逞しく生きる同時代のバンドなのだ。 *宮本英夫
REBECCAの作品を一部紹介。
左から、ベスト盤『GOLDEN☆BEST REBECCA』、ミニ・アルバムとライヴ盤を収めた2024年の2枚組『NOSTALGIC NEW WORLD』、86年作『TIME』(すべてソニー)
NOKKOがEDMに挑んだセルフ・カヴァー盤も復刻!
『All my LOVE』の直前に、NOKKOのセルフ・カヴァー集『NOKKO sings REBECCA tunes Reimagined Edition』も登場! 2015年に発表されるも現在は廃盤/未配信の『NOKKO sings REBECCA tunes 2015』を再編集した一枚だ。DJ LevinがREBECCAの楽曲をEDMに変換し、NOKKOが新たなヴォーカルを乗せた2015年版からは、ハード・テクノ化した“RASPBERRY DREAM”、メロディック・ハウス調の“MOON”など6曲を継承。一方、インストの“Encounter 2015”は外れ、“フレンズ”はラップ・パートを省いた別ヴァージョンになっている。さらに2015年版では一部店舗限定盤のみの収録だったダビーな“MAYBE TOMORROW”、加えてmiwa tanakaが手掛けた“RASPBERRY DREAM”のリミックス、鍵盤奏者のフィリップ・セスを迎えた“LITTLE DARLING Reimagined”の2曲を新たに収録。『All my LOVE』と共に、NOKKOのエッジーな先進性にダンスで呼応したい。 *田中亮太
NOKKOの2023年作『土器土器』(Mastard)

