これは、とてつもないブルックナー演奏だ。21世紀に入ってすぐに朝比奈隆とヴァントが相次いで亡くなったとき、「巨匠の時代」は完全に終焉を迎えたと思っていた。その断絶を打ち破る動きがアマ・オケから出てきたのは大変興味深い。名古屋でワーグナーやマーラーの演奏会を開いて注目を集める愛知祝祭管弦楽団が、往年の名指揮者を愛し、指揮に、批評に活躍する福島章恭を招いて実現したブルックナーは、巨大なスケールと荘厳な深みを持ち、熱い生命力に満ちた演奏となった。オケの技術的な限界も感じられるが、細部を丹念に積み上げて仰ぎ見る様に構築された音による大伽藍は、巨匠の時代の再来を思わせる。
注目のアマ・オケ愛知祝祭管弦楽団、福島章恭の指揮で実現した熱い生命力に満ちたブルックナー演奏
かもっくす