シーパンクを代表するアーティストのウルトラデーモンが、友人のプロデューサーであるJ・アシュリー・ミラーとのユニット=THIEFISTとして新EP『Realized EP』をGORGE.INからリリースした。

THIEFIST『Realized EP』収録曲“Realized”

 

GORGE.INから発表したということは……つまりそういうこと、これはゴルジェ作品なのだ! 海から山へ……か(同作のBandcampのページには〈mountpunk〉というタグが)。ゴルジェならではの、岩が山の斜面を転がるかの如くネイチャーな質感のタムが鳴り響くというよりは、エレクトロニック色の強い、無機質な感触のビートが小刻みに連打されるミニマル・トラックが揃っているのだが、それはウルトラデーモン名義作でも垣間見られる音像であり、D.J.Fulltono×CRZKNYのユニット=Theater 1にも通じるような気がする。ともあれ、ゴルジェのイメージをふたたび更新する、新解釈とでも言うべき作品ではないだろうか。なお、『Realized EP』にはシーンを代表するブーティストの一人であるKazuki Kogaや、CRZKNYらのリミックスも収録されている。

 

また、すっかり紹介しそこなっていた良作も併せて紹介したい! 毎度ユニークなコンセプト・コンピが多く生まれるゴルジェ・シーンにまた新たな一作が――THIEFISTと同じくGORGE.INから、音頭×ゴルジェをテーマに編まれた『Ondo Dimensions』がリリースされている。これがもう、おもしろいに決まってる!という内容で、ゴルジェ云々はともかく(と言ったら元も子もないんだけど)、音頭の新形態という観点で非常に興味深い作品だ。すごい!

hanaliHiBiKi MaMeShiBaらシーンを牽引する面々に加え、v.o.c発のジューク・コンピでも常連のTea-chi自身のゴルジェ作『VOICE OF SILENCE』をリリースしたばかり)が毎度お馴染みの地元・沖縄古謡“安里屋ユンタ”を取り上げていたり、クラーク内藤が見事な音頭ポップを提供していたり……言いはじめたらキリがない。ちなみにクラーク内藤氏は、以前Mikikiでも紹介した自身のEP『Pebbles From The Grave』で“さおり、別れよう”という最強の音頭×ゴルジェ曲を発表していることを強調しておく。