最近の若者は古典を読まない!、そうだ。読書芸人なる起爆剤も効果の範囲は非常に狭い。とくに歴史については大河ドラマでさえ、相変わらず幕末やイクサが絡むものばかりだ。江戸のエジソン、平賀源内でも取り上げてみてはいかがか。さて、宮崎アニメもネタにした歴史家、網野善彦と哲学者、鶴見俊輔のこの対談、タイトルは『歴史の話』。同時代を生きた二人だが、鶴見が網野から聞き出す網野史観の生成の秘密は、尽きない好奇心が集める史料とその山を新鮮な視点でほぐしていく読解能力。過去をリアルに取り戻す想像力をどうやって持続させるのか不思議だが、調べれば調べるほど、見れば見るほど読めば読むほど感性は澄んでいくらしい。