当盤の軸になるミサ・ソレムニスをブルックナーが書いたのは30歳の頃。まだ偉大な交響曲群を作曲する前で、聖フローリアンの正オルガニストを務め、もっぱら宗教合唱曲やオルガン曲をこしらえていた頃だ。敬虔なカトリック教徒だった彼の姿勢を地で行くような清澄な音楽が綴られているが、そこはやはりブルックナー。あの昇天を目指してうごめくような躍動の萌芽が確かに感じられる。今回、ボロヴィチが式典での初演当日の演奏記録を見つけ出し、その配列のままに演奏。しかもコールスが施した新校訂版による初録音。ドイツ屈指の合唱団、RIAS室内に、ベルリン古楽アカデミーが加わり、成熟した恬淡の音楽を聴かせてくれる。
ウカシュ・ボロヴィチ、ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内合唱団 『ブルックナー:ミサ・ソレムニス(ベンヤミン=グンナー・コールス校訂による新原典版)』 成熟した恬淡の音楽
LUKASZ BOROWICZ , AKADEMIE FUR ALTE MUSIK BERLIN , BERLIN RIAS CHAMBER CHORUS
『ブルックナー:ミサ・ソレムニス(ベンヤミン= グンナー・コールス校訂による新原典版)』
Accentus Music
2018