今も昔も英国王室の伝統行事に音楽は切り離せない。英国に移ったヘンデルが当時かかわった二人の国王は、ジョージ1世とジョージ2世。そのゆかりを示す“機会オラトリオ”序曲と戴冠式用アンセムを、英独の流儀に精通するドイル束ねる最上の演奏がたっぷりとした量感で表現する。特に“司祭ザドク”は新国王チャールズ3世の戴冠式でも演奏された伝統の名曲。新王誕生を華やかに祝う気分が実に効果的に描出される。クロフト作品はジョージ1世戴冠式で演奏、クロフトやパーセルの師、ジョン・ブロウも王室付き音楽家。当代の新国王戴冠という時宜に合わせてリリースされたこの一枚、荘重な筆致も兼ね備えた注目盤。