感情を引きちぎるような傷だらけの日々はどこへ向かう? 繰り返す思い出に抗って駆ける10人が、見慣れた景色に別れを告げた先にある光景とは……

 メンバー10名を1st/2ndに分割して入れ替えを行う〈BiS.LEAGUE〉をスタートし、賛否両論ありながらも7月の初シングル“Don't miss it!!”を過去最高のヒットに押し上げたBiSですが、その後の投票結果を受けてチームが再編され、9月から新体制に移行したばかり。並行して47都道府県を巡っているツアー〈I don't know what will happen TOUR〉も大団円が見えてきたこのタイミングで、堂々のニュー・シングル“アゲンストザペイン”を仕上げてきました。状況に翻弄されつつも傷みに抗って歩を進める、感情の揺れを歌ったドラマティックな仕上がりは、彼女たちの苦悩を投影したドキュメントのように響いてきます。

BiS1st アゲンストザペイン CROWN STONES(2018)

 

上に行きたい

――前作“Don't miss it!!”のリリース後に〈BiS.LEAGUE〉の発表があって、また新しい4人組になりましたね。

トリアエズ・ハナ「最初のライヴが4か月前とは思えないくらい時間が経った感覚で、最初のPV撮った5月なんか、もう3年ぐらい前の記憶みたいです。そのぐらいBiSとして濃い一日一日を送れているっていうことで、だいぶ馴染んだと思います」

ゴ・ジーラ「うん、図々しくなった」

ハナ「隠し持ってた図々しさとかが出てきて(笑)。でも、最初は〈ライヴ楽しい!〉ってだけだったんですけど、最近はイヤでも責任感を持つようになって、前よりいろいろ考えるようになりました」

ゴジ「前の暫定1stの時は、新メンバー2人と既存メンバー2人やったんで、やっぱり新メンバーのフレッシュさ、勢いを大事にして〈とりあえず前に出ろ〉〈大きく動け〉〈思いっきりやれ〉ってやってきたんですけど、もうハナも新メンバーじゃないっていう自覚を持って動いてるし、アヤもできて当たり前なので、この4人でBiSの良さをさらに上乗せして、観てる人の予想を超えていかないと上に行けないので、そういうことを4人で丁寧に話すようになりました」

パン・ルナリーフィ「個人ってよりかは、やっぱり4人で意識が変わったって思います。表ではなく、見えない裏側も変わってきたというか、練習の雰囲気も前より覇気があるし。前がやる気なかったわけじゃないんですけど、〈もっともっと良くするためには?〉って1人1人の思いが強くなったから、4人で合わさった時に雰囲気が良くなったのかなって。そういう小さいことだけど大切なことが変わってきた気がします。Zepp Tokyoでツアー・ファイナルなんですけど、私たちはとても時間がかかってしまって、GANG PARADEが先にZepp Tokyoに立ったり、とても悔しい思いをしているから、4人で本気で力を合わせて、Zeppでは……まるで日産スタジアムを思わせるような(笑)」

――先が見えるような。

パン「はい、そういう人にならないといけないんですよ。Zeppに立ってるけど、それ以上の規模でやれるぐらいの自分たちを見せなきゃいけないと思っています」

――はい。アヤさんは9月から1stに変わっていかがですか?

アヤ・エイトプリンス「1stになったプレッシャーはこんな私にもあります(笑)。4人でやるのは初めてなのもあるし、いまでも毎回のライヴがずっと緊張してますね」

ゴジ「間違えたら私が怒るから」

アヤ「怒られます(笑)。まあ、もう暫定じゃないので、〈私たち4人がBiSです〉って2ndの6人を置いてくぐらい突っ走っていきたいなって。けっこうシンプルに考えてます」

――自分が抜けた現在の2ndを見て思うことはありますか?

アヤ「いや、私がいた時より良くなってるかなとは思うんですけど……。ずっと一緒にやってきたから、入れ替わって初日のライヴはグッとくるものがあったけど、いまは……あんまり関心持たないようにしてます。冷たくなってしまうんですけど(笑)」

――また誤解されやすいことを(笑)。

アヤ「いや、情が入っちゃうとゴチャゴチャ考えちゃうし、いまは1stを4人でどうしていくかに必死で、いろいろ考えてらんないっていうか。何かそれが上手になってきたのかもしれないです、いろんな別れを繰り返して(笑)」

 

思い出すじゃないですか?

――ニュー・シングル“アゲンストザペイン”はそんな状況にも刺さるものですね。

ゴジ「はい。これは気持ちがついていかないけど、どんどん事が進んでいくっていう、いままでのBiSを物語にしたかのような曲で。いろんなことに別れを告げなきゃいけないけど、いままで過ごしてきた日々も含めて進んでいかなくちゃならないから、もう〈感情よ くたばれ〉って。〈傷つけられるよう仕掛けられてる〉って、“primal.2”に似た歌詞が入ってるなって思ったり」

――“ODD FUTURE”の〈戻れない道を~〉とかが重なる雰囲気もしました。

ゴジ「確かに。回顧しているような感じです。だから、靴擦れした両足でボロボロだけど、倒れずに立って、振り向かずにやっていくぞっていう強い気持ちで歌ってます」

――ハナさんはいかがですか?

ハナ「過去のBiSの大変なことって私は経験してないので、私は私なりに……その、めっちゃ夢を持って始めたはずなのに上手くいかなかった過去の活動と重ね合わせてます。〈大嫌いだったこの道も 何だか好きになれたみたいだな〉って歌ってるんですけど、この前ツアーの帰りに、昔の活動で通った場所をちょうど通ったんですよ。その頃は死にたいぐらい辛かったのが、いまは前と違う気持ちで通れてるなって。私なりに凄く共感しております」

――いいですね。

パン「歌い出しの〈見慣れた景色にサヨナラを〉から〈戻りたいような戻りたくないような〉までの歌詞が凄く好きで、心にきています。私が入って1年半くらいの間にけっこう体制が変わってきて、ライヴで歌ってても、もういない人の声が聴こえてきたり……そういうことがたくさんあるんですよ。でも、そういうのを全部、この曲を機に良い意味で断ち切れるような気がして。この曲を通して忘れるというか」

――まだ断ち切れてはいない?

パン「はい。やっぱりいろいろ思い出すじゃないですか? それはBiSに関わってる周りの人もそうだろうし、お客さんも昔の誰かに重ねたりして観てる人もいると思うし。そういうのも全部ブッ壊して、先の希望を持てるような曲に私たちができればいいなって思います」

――そうですよね、全体の曲調も重たく沈んでいるようにも聴こえるけど、ポジティヴに捉えられる感じもあって。

パン「うん、そうなんです。この4人で突き進んでいこうという、傷みに反発して(笑)」

ゴジ「ちゃんと訳したね」

――だから、いままでのBiSの流れもありつつ、やっぱり2チームになってからのBiSの現状に寄せた雰囲気みたいな。

アヤ「私もこれは〈BiS.LEAGUE〉が始まってからの、ここ最近の感じが合うなって思います。思い出すとキリがないし、戻りたいような気持ちになる時はやっぱりあるし、BiSは何かしんどいことになってるけど、でも、私は〈それでもがんばるぞ〉っていう前向きな曲として、そこを表現していきたいと思っています。だから、ファイナルのZepp Tokyoではどういう気持ちでこの歌を歌うんだろうな?って凄い想像しています」

――靴を脱いで振り回すという振付けも印象的です。

ゴジ「はい。“primal.”だったら後ろをみんなで振り返るとか、そういう〈曲を象徴するような振付けを考えて〉って言われて、何回も何回も直されて、みんなでスタジオで〈象徴って何だよ!〉って怒りながら考えてたんですけど、その時にパンが某アイドルさんのMVを出してきて、〈靴脱ごうよ〉って」

パン「某46さんの」

ゴジ「うちら研究会なので」

――そうでした(笑)。BiSといえば靴擦れなので、それを脱ぐというのは何か意味があるようにも感じられますね。

パン「そうなんですよ。後付けだけど(笑)」

ゴジ「でも歌詞を見て考えたよね。〈くたばれ〉って歌ってるから、もう寝転がってようかとか(笑)」

 

それぞれの個性

――一方、カップリングの“YPP”は2ndのキカ・フロント・フロンタールさんが作詞されています。

ゴジ「〈ヨッパッピー〉っていう意味です。酒クズ(笑)」

パン「キカを表した曲なんですよ」

――キカさんは酒に呑まれやすいってこと?

ハナ「飲むとけっこう〈やっちまった~〉ってなるみたいです。歌詞の意味とか訊いたら、ただ〈楽しく歌って〉って」

ゴジ「〈誘われたら行っちゃうよね~〉って言ってました。書いていいか知らんけど(笑)」

パン「ダメだろ、それは(笑)。でも、まあ歌詞だからね」

アヤ「酔っ払ってよく失敗する友達のことみたいな感じかもしれないしね」

――表題曲とも好対照なノリですね。

パン「確かに全然違いますよね。合いの手もいっぱい入って」

アヤ「〈high high〉ってみんなで録ったよね」

ハナ「〈アガレ high high〉とか、4人でマイクの前で録ったのも楽しかったです」

ゴジ「普段とは違う感じで楽しかったね。パーティーみたいな曲」

アヤ「ライヴで盛り上がりそうだね」

――それと完全生産限定盤だけにはもう1曲“イツカヤラレルゾ”が入ってて、これは〈BiS.LEAGUE〉で1位だったのでゴ・ジーラさんが作詞されてるんですね。

ゴジ「そうです。うちらの曲なんですよ」

パン「嬉しいね。1stだけが歌えるので」

ハナ「めっちゃ好き。マジ、これが歌いたいから1stにいたいっていうモチベがあってもいいぐらい好きな曲」

パン「振付けもゴ・ジーラがやったんですけど、ホントに動きが人間じゃないんで、習得するのが大変で。鍛えられてるよね?」

アヤ「そう、ついていくのがね」

ゴジ「武道を採り入れました。筋肉で止めろって(笑)」

――歌詞も攻撃的ですね。

ゴジ「はい。いつも〈どういう言葉なら聴く人が嬉しいかな?〉って思いながら作詞するんですけど、今回はちょうどイライラしてたので、その時の気持ちを好きなように書きました。気に入らない人がいて〈吊るし上げてえな〉って思いながら。あとは友達から言われてカチンときた言葉とかをそのまま入れてたり」

パン「いや、ゴ・ジーラにしか書けない歌詞すぎる」

ゴジ「だいたい低気圧とか雨とかでイライラしてたら、楽屋とかで〈殺す、殺す〉って言ってるんで(笑)」

パン「うちら情緒が安定してないから」

ハナ「マジでこの2人は低気圧とかで機嫌がダメになるんですよ(笑)」

アヤ「そういう時に聴いたら、発散できそうな曲だよね」

ゴジ「そうそう、スピード感がある曲で、振付けも手を挙げたりとかわかりやすいので、みんな一緒に身体動かして、叫んで、発散できる曲やなって思ってます」

――さらに完全限定盤には“アゲンストザペイン”のソロ・ヴァージョンが4人分入ってます。

アヤ「めちゃんこ嬉しい。ソロで歌ってみたかったので、夢が叶った」

ハナ「自由に歌ったので、イントネーションがちょっとずつ違うんですよ。間の取り方とか、音の取り方とかも違くて」

アヤ「プロデューサーの松隈(ケンタ)さんに〈ホントに好きにやってみて〉って言われて、歌い方とか語尾の切り方とか個性が出てるんで、全員分のを聴いてほしいですね」

 

集大成を見せる

――そして、4月から続いてきたツアーも、59公演あるうち、この本が出る頃には残り10本くらいの状態になっています。

アヤ「早いな~」

パン「寂しい。始まった時は長いなって」

ゴジ「終わるのか?って思ってたね」

アヤ「そう、ツアー初日の沖縄は、もも(らんど)もいたし」

パン「それがラスト・ライヴで」

アヤ「わけわかんない時期ですわ」

――そこから全国を回ってきて。印象深かった場所とかありますか?

ハナ「三重の松阪M'AXAは、めっちゃ死ぬかと思うくらい暑かったので凄い覚えてます。会場自体も暑かったし、お客さんの熱量も凄かったし、死にかけたけどすっごい楽しいライヴではありました」

アヤ「私はどこかな、まだ序盤の5人の時だったんですけど、奈良のNEVERLANDは死ぬかと思った。ホント酸素がなくて、天井が低くて、あれは人生でいちばんヤバかった気がする(笑)」

パン「そうそう、終わった瞬間に全員、頭カチ割れそうに痛くなっちゃって。三途の川が見えたね」

アヤ「三途だったね。あとはやっぱり新メンバーをお披露目した金沢AZとか。私は2ndだったけど」

パン「うんうん、お披露目はね」

アヤ「いまのBiS1stのお披露目の岡山も特に印象に残ってるし」

ゴジ「いろいろあったね。個人的には去年のことを振り返りながらツアー回ってたとこもあって、7月頃はブワッていろんなことを思い出したりしてて。去年だと〈BAD SOCiAL TOUR〉を回ってた頃で、BiSHが幕張でやった日に大阪の味園ユニバースでワンマンがあって」

――プー・ルイさんがMCでいろいろ話されたという時ですね。

ゴジ「そうです。その時のMCを思い出したりして、〈あ、いまはいないんだな〉って。でもBiSはまだ続いてて、〈私たちなんだな〉とか思いながらステージに立ってましたね」

――12月24日にはその味園ユニバースでのワンマンも控えています。

ゴジ「そうなんです。去年の味園は残りあと5人とかでソールドアウトできなくて、むちゃくちゃ悔しかったので、今度は満員でメリークリスマスしたいですね」

――そこからZepp Tokyoでファイナルがあって。当日は次の〈BiS.LEAGUE〉の結果発表もありますし、この先のBiSを占う日になりそうですね。

アヤ「ただ埋まるだけじゃなくて、そこでこの4月から始まった私たちの集大成を観てもらいたい。パンがさっき言ったように、その先が見えるようなライヴにしたいです。たぶん確実に何かあると思いますけど、私たちは抗っていくので」

ゴジ「うん。BiSがもっと上がっていくための通過点にするべきライヴなので、だから、2018年はZeppで終わりますけど、そこを盛大な終わりにして、〈2019年はBiSの時代が来るな〉って思わせるような日にしたいです」

2018年にリリースされたBiSのシングルを紹介。