水がテーマだというHIROKI OKANOの新作が届いた。冒頭の波の音の迫力や音の大きさにではなく、耳が波の飛沫の気配を追っていたことに気が付いて驚いた。間も無く美しい倍音の重なりが現れてOKANOの音楽に体は包まれた。水のことを考えてみる。身近な水の溜まり、流れの汚れに慣れてしまった生活を考えてみる。我々の、澄んだ流れ、光の透ける淀みの記憶は頭の中で想像する正三角形のような、美しい水の姿を想い描くことができるだろうか。科学の示す理論的透明度を超えて、美的透明度、美しい水の組成を再び記憶するには、こうした美しい響きが必要なのは明らかだろう。