作曲家と演奏家が明確に分業していったのは19世紀に入ってからといわれる。自作自演は目指しているベクトルが明確なため、作曲意図や音響効果が分かりやすいメリットがある。しかしまた、訓練された演奏家によってまっさらな「楽譜からの構築」の新しい視点、あるいは細部の見落としていたところまでも光が当てられるのは、よりその曲が深化して行くことであり、たいへんに喜ばしい。「ブリッジ」日本初演にもなった2004年のライヴ録音に加え、教授自身にアレンジ許可を得、捧げられた岡城自身の新曲《オマージュ》を含めた久しぶりのアルバムは、教授のファンならずともぜひ手に取ってほしい。