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ファンキーでスキルフルな万華鏡にして等身大なラヴソングの名手――SEAMOが積み重ねてきた栄光の日々

 SEAMOのキャリアは、名古屋を拠点にシーモネーターと名乗ってDJ TAKI-SHITとタッグを組んだ90年代半ばにまで遡れる。当初はエロ&やんちゃな作風で、裸で下半身に天狗の面を着けてパフォーマンスを行い、イロモノなれどスキルフルで威勢のいい作風で脚光を浴びた。コンビは2002年に米米CLUBをネタ使いした“浪漫ストリーム”でメジャー・デビューするも、アルバム発表後に契約を解除されて活動休止に至っている。

 そんななかSEAMOに名を改めた彼は、2005年にさだまさし“関白宣言”をレゲエ調でリメイクしたソロ・デビュー・シングル“関白”で前線復帰。Growthを相棒に迎えて下ネタよりもラヴソングや人情味溢れる普遍的な歌モノ路線を開拓し、以降も“マタアイマショウ”や“MOTHER”などのヒットを連発していった。なかでも「ルパン三世」ネタのファンキーな“ルパン・ザ・ファイヤー”を含む2006年の『Live Goes On』はオリコン1位を獲得し、暮れには紅白歌合戦にまで出場。また、当時の泣き歌ブームやラッパー×女性シンガーのデュエット流行りにも乗り、AZUやTiaraらとのコラボでも引っ張りだことなっていく。

 2010年代に入ると活動はより多面的になり、2011年には土屋アンナ&スガシカオと合体した“S.ex.”でシーモネーターとして再臨。以降もアルバムのたびに同名義での楽曲を披露しつつ、ハンサムなラヴソング路線もAZUとのデュオ作『THE SAME AS YOU』で極めるなど、より自由に表現の振り幅を広げて現在に至っている。また、身近なnobodyknows+やONE☆DRAFTからDJ Deckstreamまで客演歴もさまざま。さらに和田アキ子やNEWSらに楽曲提供してきた作家としての才は、近年もチームしゃちほこの諸作や昨年のVipera“俺またやっちまった”などで発揮されている。 *轟ひろみ

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