東海きってのベスト・カップル? もしくは仲良し兄妹? 相性抜群な2人が新たな化学反応を見せつけるコラボ・アルバムの登場!!

 もっと早く実現してもおかしくはなかった試みだが、こうして一枚の作品に仕上げられてみると相性の良さを改めて痛感させられるという人も多いことだろう。SEAMO & AZU名義で届けられる初のコラボ・アルバム『THE SAME AS YOU』は、これまでも相棒として、あるいは兄妹として、恋人同士として、音盤上のナイス・カップルぶりを多様に披露してきたSEAMOAZUが、すべて新録で仕上げた一作だ。

SEAMO,AZU THE SAME AS YOU ARIOLA JAPAN(2016)

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 もはや説明不要、地元の名古屋を中心にポップ・フィールドにも踏み込みながら、東海シーンを長年盛り上げてきたSEAMOは、多くの話題曲を送り出しながら昨年で(同名義での)デビュー10周年を迎えたばかり。一方、同じく東海エリアで10代から活動してきたAZUは、兄貴分のSEAMO“心の声”(2006年)にフィーチャーされて脚光を浴び、翌2007年にメジャー・デビュー。SEAMOを迎えた“時間よとまれ”で全国区の存在となり、近年も“YOU & I feat. LOVE LOVE LOVE”(2010年)や“Promise”(2013年)、『Circles of Life/Summer Time!!!』(2013年)などのヒットを放ちながら、同性のリスナーを中心に安定した支持を築き上げてきている。昨年は多彩なゲストを迎えて初のコラボ・アルバム『Co.Lab』をリリースしているが、そのなかにはSEAMOとの“YMD§”も収録されていたものだ。そのようにコンスタントに手合わせしてきた両者ながら、今回の新作では1+1のコラボというより、〈SEAMO & AZU〉という一組のデュオとしての作品性が改めて追求されているのではないか。

SEAMOを迎えたAZUの2008年のシングル“時間よとまれ”

 

 このコンビのテーマ曲ともいえる“SUPER LIVE BROTHERS”でカラフルなショウは幕開け。あの〈マカレナ〉を下敷きにした賑やかなパーティー・チューン“DACARENA”や、セクシャルな絡みを聴かせる“I§B”ではSEAMOお得意の誘惑にも堂々と渡り合うAZUの歌声が魅力的で、逆にAZUが主導するピュアなラヴソング“Anywhere Door”や“Need U Now”ではリリカルなSEAMO節が楽しめたり、両者の持ち味はキャッチーな歌世界の中で自然と融和している。ベースがファンキーに弾むスペイシーな“She is mine”やポジティヴなダンス・トラック“ドンマイ Don't Cry”など曲調の幅広さも特筆モノで、締め括りにはSEAMO×BENNIE Kの名曲“a love story”(2005年)をこの2人で新録しているのも大きなトピックだろう。

 冒頭で述べたようにもっと早く実現してもおかしくなかった作品だが、個々にキャリアを重ねた現在の2人ならではの、懐の深い仕上がりが楽しい。リリース直後にはツーマンでのツアーもスタートする両者だけに、ステージ上でのコンビネーションにも期待したいものだ。