インタビュー

御多忙プピーピ 『パフェはジャリ』 令和日本のシャッグスが生み出す不思議な曲と歌詞

Page 2 / 4 1ページ目から読む

これからバンドをやる人必見! 音楽の作り方

――で、曲の話にはいつなるの(笑)!?

下田「そりゃそうですよ! 俺たちバンドですよ!」

まさし「ネタの話ばっかりで」

下田「実は結成していちばん最初のバンド会議の時に立てた中長期の目標があって、オリジナル曲を1曲作るということ。とにかく1曲できるようになる。だってその時はドラムスを叩いたことないヤツがいたんですよ? で、次の目標がライブをすること」

ハコ「え、そんなのあったっけ?」

――中長期っていうか、短期で達成できそうな目標だけど(笑)

下田「いや、それが1年以上かかったんですよ。2014年の8月2日に結成して、1年以上経った2015年の11月に初ライブでした」

まさし「当時の自分たちからしたら長期でしたね」

ハコ「全然覚えてない……ヤバい」

下田「で、最終的な目標は、友達の岡山ガールズコレクションというバンドと対バンすることだったんですけど、解散しちゃって(笑)。じゃあ別の目標を、と思って、ユッカちゃんってバンドと対バンしたいと思ってたのに、それも解散しちゃって」

――好きなバンドは目標に挙げないほうがよさそう……(笑)。で、最初に出来た曲は何だったんですか?

下田「“趣味はバンドと言いたくて”かな」

バンドを結成するきっかけを歌った“趣味はバンドと言いたくて”のライブ映像
 

ハコ「あれ最初だっけ」

――歌詞の通り、バンドの結成秘話が1曲目の曲になったんですね。

下田「最初はバンド名の候補が〈趣味はバンドと言いたくて〉だったんですよ。でも〈それって曲っぽくない?〉って話になって、まさしがギター・リフを考えてきて」

まさし「歌メロも何もなかったけど、リフと全体的な流れだけを考えて」

――で、バンド名のほうは〈御多忙プピーピ〉になって。それはなぜ?

下田「その時にあった候補のひとつで、打ち合わせが何度もリスケになったから〈御多忙〉で」

まさし「一度〈御多忙パーティー〉になりかけませんでした?」

下田「なったなった」

まさし「〈御多忙パーティー〉になったんだけど、下田さんが〈ウチらパーティー感ないよね〉って話をして、なぜか知らないけど〈プピーピ〉になったんですよ(笑)」

ハコ「〈プピーピ〉はたしか下田さんが好きな発音だった気がする。〈変な言葉が俺は好きだ〉とか言い出して作った言葉」

まさし「ネットで検索したら出てこなくてね、それは意識した。本当に何でもない言葉です」

――で、そこから1曲目が出来て。メロディーはどうやって作ったんですか?

下田「メロディー大会をやるんです。作ってきてくれた演奏だけの打ち込みに、3人がカラオケみたいにして歌メロを考えて。誰のが一番よかったか投票して」

ハコ「誰のになったんだっけ?」

下田「俺のだよ(笑)!」

ハコ「ふ~ん、良かったじゃん」

まさし「おめでとう(笑)!」

下田「5年越しに言われた(笑)。その時すでに歌詞もあって、歌ってたね」

ハコ「私は下田さんが持ってくる歌詞にケチをつけることが多いよね。言葉回しが気持ち悪いから」

まさし「まあ自分が歌うからね」

下田「そうそう、ケチをつけられる」

御多忙プピーピは令和日本のシャッグスだ

――でもそうやって1曲出来たら目標その1が達成になるわけで。それで、2曲3曲と作っていった?

下田「けっこう並行して作ったよね」

まさし「あの頃は同時進行で曲を作ってました」

――以前、メロディーは下田氏がお風呂で鼻歌を歌って作るって聞いたんですけど。

ハコ「曲作りにはパターンがいくつかあって、〈下田お風呂鼻歌系〉の曲は、風呂場でiPhoneのボイスメモで録音して、みんなに披露して、音の調整を私がする。それ以外のパターンだと、まさしが作ってきたギター・リフから曲を組み立てていく時と、私ががっつり打ち込んでくるパターンがあります」

――じゃあ曲によって作詞作曲する人が違うんですね。一人が作っているようにしか思えなかった。

ハコ「違いますね。スタジオに入ってみんなで編集していくうちに、空気が御多忙っぽくなっていくんですよね」

下田「いつも作り立ての時は〈いままでの御多忙になかった曲だな〉とか言っておきながら(笑)」

ハコ「みんなでつついてるうちにいつもの感じになっちゃう(笑)」

――バンドやるにあたって作詞作曲方法とかは勉強しました?

下田「誰もしてないね」

ハコ「してない上に、みんな音感があんまりよろしくなくて(笑)」

下田「二人(下田とまさし)とも歌がへたっぴで、音のことはよくわからないんですよ」

ハコ「完全に不協和音なのに、何が変なのかもよくわからないしね」

――それがあの独特の雰囲気を生んでるのか! じゃあ、何をもって正解とするんでしょう?

下田「ハコさんの正解が正解。アイデアは俺とまさしも出すけど、調整して、最終的に判断するのはハコさん」

――ハコさんにとっての正しい、正しくないはどうジャッジする?

ハコ「わからないです、感覚です。私は感覚でしか喋れなくって」

――なんでそういうことを聞いたかと言うと、実は聴いてて〈ここは音楽理論的におかしいんじゃないの!?〉ってところもたくさんあって。

ハコ「正直私にもあるよ、あるけどこれ以上言ったらよくないなと思って進めちゃう。“ハワ親”とか〈なんでまさし、このギターなんだ! でももういいや……〉ってなる」

明らかに曲のコードとギター・リフのスケールがズレている……けれどこれが正解な“ハワ親”のライブ映像
 

――でも、それを直してないところがいいと思っていて。

3人「なるほどね~」

下田「それは俺らがいいと思ってるところじゃないけど(笑)。俺とまさしは気付いてない」

まさし「でもハコちゃんが直してくれたら良くなったねってわかるよ(笑)」

ハコ「そういうポイントが多すぎるんだよね」

――だから教則本とかで勉強しないでほしいなって思います。

下田「しないでしょうね(笑)」

――でも、勉強しないでねとか言いながら、その一方で今作を聴いてて〈成長したな~〉とも思って。

下田まさし「(爆笑)」

ハコ「わかる~。別名、成長を楽しむバンドなんで正解です(笑)」

下田「本当最初の頃からはすごく成長したと思う」

――シャッグスって知ってます? お父さんが3人の娘にバンドを組ませて、演奏も下手だしリズムもよれよれなんだけど、〈これこそロックンロールだ〉って評価する人もいるっていうバンド。それに通ずるものがあるなと思って。

下田「(笑)。なるほどね」

――音楽やってる人って、みんな歌も演奏も上手くて当たり前だけど、〈上手さ〉っていい音楽の最低条件じゃないんだなって思いました。

下田「いや、最低条件ですよ」

まさし「(笑)」

――あれ、こっちの感覚がバカになってる?

下田「だって俺らも上手くまくなりたいですもん」

――もちろん成長はしてほしいんだけど、あんまり上手くなりすぎないでほしい!

 

関連アーティスト
TOWER DOORS