乾いた質感ながら、じわじわ旨味滲み出る歌声と、カーニバル彷彿の大所帯ブラスやパーカッションが醸し出すほんわかとした雰囲気が微笑ましく、黄昏に染まることも時にあるが一貫していい塩梅の脱力感が心地いい。給食のおばちゃん(当時はおねえさんか)からアラブ音楽を起源にしたブラジルの伝統ダンス音楽「シランダ」の女王に登り詰めたリア・ヂ・イタマラカの新作はそれだけに終わらず、昨年約11年ぶりにソロ新作を発表し話題となったDJドローレスのビート・メイクが冴え渡りボレロ、クンビアといった多様なリズムやチープな電子ビートの違和感なき導入など遊び心満載で伝統的とは一線を画す作品となっている。