前作ではオヴァルなりのポップな作風を試みたが、それを更に推し進めたのが今作『SCIS』。声の素材こそほぼ皆無だが、ビートメイカーにも負けない肉感的グルーヴ、随所で耳を奪われる美麗かつ心躍るメロディ、プリペアド・ピアノ/木管楽器/ストリングスなど優しい音色をビートの素材として使用といったことが相まって、間口の広さは前作と同等かそれ以上だろう。しかし、まるで即興演奏のように予測の出来ない複雑なリズムと先述した要素が緻密に重なり合う楽曲は、取っ付き易さとは裏腹に腰を据えて何度でも聴き直したい面白さを秘めている。日本盤CDにはEP『Eksploio』を全曲をボーナス・トラックとして収録。