旭川生まれのシンガー・ソングライターによるファーストEP。AnoiceのYuki Murata、Takahiro Kidoがピアノとアレンジで参加したリードトラック“忘れられた池”は、余計な装飾を廃した厳かで幻想的な楽曲。文字通り、森の奥で忘れ去られた池についての絵画的な歌を聴いていると、自分の中にもかつては煌めいていた強い意志とか夢みたいな何かがあって、いまはそれが〈忘れられた池〉になっているのでは、などと夢想してしまう。〈緩やかな殺意〉について歌った“じごくのワルツ”や、楽園へと逃げようとする“脱獄”なども同様に、静かだけど強い意志をギター1本で絵画的に美しく歌い上げている。