廃盤だった2010年/2011年リリースのミニ・アルバム2作が2枚組で復刻。この時点ですでに彼女の世界観が出来上がっているのは改めて驚きだが、打楽器や弦、タップダンスをフィーチャーするなど、自身の声とピアノをいかに聴かせるかというところに重きを置いた、近作に通ずる姿勢も変わっていないところが彼女らしい(ストリングス入りの“ヒューマン”の良さと言ったら!)。付属のブックレットには、2作品を制作していた時期に記した詩や小説、撮った写真などが雑多に並べて掲載されており、現在ではなかなか味わえない彼女の私生活に近い姿を垣間見ることができる。まだいまよりも少し粗削りな歌に、本当はどこかにしまって鍵をかけておきたいであろう写真や詩まで載せて、本人にとってはもしかしたら恥ずかしいものかもしれないが、だからこそそれがすごく愛おしく感じるし、今日までブレずに日食なつこでいてくれてありがとうと思う。