窓を開けたら柔らかな陽光が差し込んできたような、穏やかな充足を窺わせる新作。久々に複数のトラックメイカーを招いた作りも開放感を後押しし、前作『Rappelle-toi』を手掛けたPigeondustがドナルド・バードのリメイク“Think Twice”などを提供したほか、1Co.INRや盟友Eccyらのジャジーなビートも繊細な語り口に伴奏する。DJ Mitsu the Beatsのピアノ・ループが優しい“Flower”を我が子に捧げ、MAHBIE製の“My Fan”ではcrime6と共にファンへ感謝を贈るなど、体温の高めな言葉も快い。冒頭曲でまさに作品の“Mood”を決定付けるCHIYORI、抜群の相性を見せる泉まくら、荘厳な歌を聴かせる曽我部瑚夏も好演。新生した男の新たな名刺という意味も重ねて、セルフ・タイトルに相応しい力作だ。