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 人生を並走してくれるバッハの音楽は、崖っぷちにいるときにとりわけ力を発揮する。BCJはこれまで何度も、そのようなバッハの力を伝えてきた。東日本大震災の直後に、ニューヨークの“ロ短調ミサ曲”で満場の聴衆を感動させたのもBCJなら、この3月、ヨーロッパ・ツアーに出ながら新型コロナウィルスの影響で途中でツアーを断念しなければならなくなった時、ケルンのフィルハーモニーで“ヨハネ受難曲”の無観客上演と録音を行い、全世界にストリーミング配信して世界のお茶の間を感動させたのもBCJである。BCJはバッハとともに、伝説を残してきたのだ。それも彼らが、バッハの音楽の力をよく知るがゆえである。BCJは欧米での評価が極めて高い団体だが、それは演奏水準の高さに加え、バッハの作品への真摯な向かい方が大きな理由なのではないだろうか。

 このボックスに詰まっているのは、日々の心の糧となる音楽である。そしてその奏者としてBCJほどふさわしい団体は、多分ない。

 


LIVE INFORMATION

第138回 創立30周年記念演奏会 教会カンタータシリーズ vol.78
2020年5月24日(日)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホール ※延期
開演:15:00
曲目:J. S. バッハ《ファンタジアとフーガ ト短調》BWV 542*/カンタータ第78番《イエスよ、あなたはわが魂を》BWV 78/《マニフィカト》変ホ長調 BWV 243a(初期稿)

第139回 三大宗教曲を聴くII
2020年9月20日(日)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホール
開演:15:00
曲目:J. S. バッハ《ミサ曲 ロ短調》BWV 232

第140回 ベートーヴェン生誕250周年記念「運命」とハ長調ミサ曲
2020年11月28日(日)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホール
開演:15:00
曲目:ベートーヴェン《交響曲第5番 ハ短調》作品67/《ミサ曲 ハ長調》作品86

第141回 三大宗教曲を聴くIII
2021年2月19日(日)東京・赤坂 サントリーホール 大ホール
開演:19:00
曲目:J. S. バッハ《ヨハネ受難曲》BWV 245

https://bachcollegiumjapan.org/