レディオヘッド/ザ・スマイルのフロントマン:トム・ヨークと、アンビエントテクノの傑作『76:14』を残したトム・ミドルトンとのユニットであるグローバル・コミュニケーションなどのプロジェクトでも知られる先駆的プロデューサー:マーク・プリチャードのデュオ作品。プリチャードがシンセサイザーのアーカイブから発掘した古い機材を駆使した予測不能かつ実験的なサウンドに、トム・ヨークの幽玄なヴォーカルが内省的でダークなストーリーテリングを魅せる傑作。トム・ヨークの歌詞、マーク・プリチャードの先進的プロダクション、〈人類の尽きることのない進歩〉への渇望。ええやんええやん。
さまざまなプロジェクトで精力的にリリースを続けるトム・ヨークの新展開は、かつて“Beautiful People”で共演したマーク・プリチャードと丸ごとコラボしたフル・アルバム! 多岐にわたるダンス・トラックを繰り出してきた鬼才マークも、ソロ名義に専念している近年は深いアンビエンスに包まれた分厚いエレクトロニック・サウンドに持ち味を集約させているが、そんな作風はトムの幽玄なヴォーカル表現とも好相性で、それ以上の不穏で美しい化学反応を見せている。ダイナミックな音塊の蠢きと劇的なメロディー展開を備えた“Back In The Game”をはじめ、感動的な瞬間が節々に刻まれた傑作だ。