夭折の音楽評論家、原田光子氏(1909~46)による初版が1942年3月という歴史的名著の新装版。パハマンからカサドジュまで、19世紀生まれの20人の巨匠を選び、彼らが著した学習談義、芸術論を収集し、格調高い日本語に訳したもの。全員に共通するのは、演奏の前提は〈すべての楽曲を抱擁できる技術的把握力〉(ラフマニノフ)だという考え方。技術を維持・発展するための各自の訓練法を包み隠さず告白する。同時にサーカス芸の虚しさを語り、〈音楽は常に楽器を凌駕し、大芸術家は生命を表現する〉(ナット)と説く。学習者には実践の書として、愛好家には大ピアニストたちの秘密を知る書として必読だ。
原田光子「大ピアニストは語る」夭折の音楽評論家が巨匠たちの芸術論を格調高く訳出
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