ショルティが70年代に録音したリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲をSACDハイブリッド化。黄金コンビを築いたシカゴ響との3曲では“ツァラトゥストラはかく語りき”が破格。定評ある金管のみならず、サミュエル・マガド率いる弦楽器の透明度と深いうねりに心奪われる。ウィーンフィルとの“英雄の生涯”は楽団のポテンシャルが全開で量感のある艶やかなサウンドが生き生きと脈動する。キュッヒルのソロは鋭敏かつ伸びやか。バイエルン放送響を起用した“アルプス交響曲”は速いテンポの中での陽陰のコントラストが鮮烈。今回の復刻によりショルティが形作る横の流れの美や各楽団の高い総合力を改めて実感した。