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インタビュー

工藤晴香『POWER CHORD』ポジティヴなパワー・コードで掻き鳴らす、表現者としての決意表明

工藤晴香『POWER CHORD』ポジティヴなパワー・コードで掻き鳴らす、表現者としての決意表明

ラップや作曲にもトライし、よりクリエイテヴィティーを高めた新作が早くも到着! ポジティヴなパワー・コードで掻き鳴らす、表現者としての決意表明とは?

 初めて音楽に出会ったときの衝撃、性別や年齢などの数字で可能性の限界を決められることへの憤り、人が歩んできた道のりや決断を肯定したいという気持ち──工藤晴香のセカンド・ミニ・アルバム『POWER CHORD』は、ヘヴィーなロック・サウンドと、彼女自身の価値観やメッセージがより強く反映された歌詞を両輪とする作品となった。

工藤晴香 『POWER CHORD』 CROWN GOLD(2020)

 「前作『KDHR』はファーストということもあって、〈私はこういう人間です〉というテーマがあったんですけど、今回のミニ・アルバムは、今、身の回りで起きていることや過去の自分、聴いてくれる皆さんに伝えたいことも表現していて。あと、未来に向けたメッセージも込めてますね。先が見えない不安もあるけど、考えていてもしょうがない。〈未来は絶対に明るいはず!〉と思い込んで進んでいくしかないなと。〈STAY HOME〉期間で家にいる時間が長かったからこそ、意識が外に向いたんでしょうね」。

 ポジティヴな意志に貫かれた本作のオープニングを飾るのは、爆発的な疾走感を湛えたビート、重厚なギターと煌びやかなシンセがぶつかり合う“GROOVY MUSIC TAPE”。歌詞のテーマはズバリ、〈音楽の初期衝動〉だ。

 「『KDHR』のインタヴューで音楽に目覚めたきっかけを質問されているうちに、自分でもいろんなことを思い出して。好きな曲をカセットテープに入れて友達と一緒に聴いたり、好きなアーティストが歌番組に出たときに嬉しかったことだったり。“GROOVY MUSIC TAPE”のデモを聴いたとき、〈この音だったらハマりそう〉と思って書いたのが、〈初期衝動〉をテーマにした歌詞なんです。ソロ活動もそうだし、声優としてギターを弾くこともそうですけど、〈どうしたらカッコ良く見えるかな?〉みたいなことを考えがち。それがこの曲を作ったことで、音楽を楽しむ気持ちを取り戻せたのは良かったです」。

 続く“ROCK STAR”は、エッジの立ったギター・リフ、攻撃的なトラックが一つになったアッパー・チューン。この曲の歌詞は、〈もしあのロックスターが今も生きていたら、どんな言葉を発するだろう〉という想像から生まれたのだとか。

 「めちゃくちゃ強い曲だから、とにかくカッコいい言葉を乗せたくて。迷い、悩み、苦しみの要素を織り込みながら、最後はスカッとできる曲にしたかったんです。ファンのみんな、私の曲を聴いてくれている人にとっては、私もロックスターに見えるかもしれない、という気持ちもありますね。いまはSNSなどで発信もできますけど、私は自分の歌詞のなかに言いたいことを込めたくて。表現者としての決意表明みたいな曲ですね」。

 また、〈90年代ミクスチャー・ロックの進化型〉と称すべきリード・トラック“KEEP THE FAITH”ではラップに初めて挑戦。ヴォーカル表現が大きく広がっているのも本作の魅力だ。

 「サウンドがゴリゴリだったから、ラップを乗せたらカッコいいかなと思って、自分で〈やりたいです〉と言ったんです。あたりまえですけど、ラップの歌詞を書くのは難しかったですね。韻を踏まなくちゃいけないし、ビートに乗せてノリが出る言葉を選ばなくちゃいけないし。歌詞の内容としては、数字や年齢で可能性を決めつけられることがあって、〈それって違くない?〉と思ったのがきっかけですね。これは以前から感じてたんですが、〈あの人、終わったよね〉〈アレはもうない〉と勝手に終わりを決めつけるのが許せなくて。これまでいろんな人に出会ってきましたけど、新しい場所で再スタートを切って、すごく幸せになっている方々もいらっしゃって。この曲でも〈生きてればいつでもスタートラインに立てる〉と伝えたかったし、それを自分に言い聞かせてるところもありますね」。

 さらに“Magic Love”では、初めて作曲にも挑戦。ギターでパワー・コードを弾きながらメロディーを紡ぎ、「積み上げては崩し、ちょっとだけ残してはまた崩して」と試行錯誤を繰り返して完成したというこの曲は、心地よいスピード感と解放感に溢れたヴォーカルが重なったポップ・ロック・チューンに仕上がっている。

 「ギターも少し弾けるので、作曲をやってみたくて。やりはじめたときは、ちょっと後悔しましたけどね。工藤晴香として世に出す曲は自分が納得できるものにしたかったし、少しでも微妙だなと思ったらやり直してたので。歌詞は純粋な子ども時代を思い出しながら書きました。コロナ禍のこういう時期でも、子どもたちはすごく元気で。その頃の楽しかった気持ち、毎日が冒険だった頃をいまの自分に落とし込んで歌詞にしたら、いいものになりそうだなって。誰でも昔は子どもだったし、その気持ちを引き出すことができたら絶対に届く曲になると思ったんですよね」。

 そのほか、自粛期間中にラジオを聴いて、〈私は孤独じゃない〉と思ったことをきっかけに制作された“君へのMHz”、〈自分の人生の主人公は自分。その人が歩んできた道を肯定したい〉という思いが込められた“My Story  My Life”も収録。「しばらくライヴはできないですけど、私はお気楽なので、〈いつかやれるようになるはず〉と思ってます。今は〈次にリリースするとしたら、こんな曲はどうかな?〉って考えてますね」と語る彼女は、アーティストして着実に前進を続けているようだ。

工藤晴香の2020年作『KDHR』(CROWN STONES)

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