米LA郊外を拠点に活動するバンド、ハロー・フォーエヴァー(Hello Forever)。ビートルズやビーチ・ボーイズといったサイケデリック・ポップ/ハーモニー・ポップの担い手たちに影響を受けた、独自のポップ・ミュージックを作り奏でている。そんな彼らが2020年9月25日に待望のデビュー・アルバム『Whatever It Is』をリリースした。

今回Mikikiでは、本作の魅力の源泉やハロー・フォーエヴァーのバックグラウンドについて掘り下げるべく、ライターによる対談企画を実施した。語り手は、「ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド」を監修するなど、ビートルズ以降のサイケデリック・ポップ/ハーモニー・ポップに造詣の深い黒田隆憲と、自身が編集長を務める音楽メディア〈TURN〉にてハロー・フォーエヴァーのリーダーであるサム・ジョセフにインタビューを行った岡村詩野。対談は、ハロー・フォーエヴァーというバンドの多面的な魅力を照射しながら、コロナ禍以降の音楽受容のあり方にまで広がりを見せた。

また本稿は〈ハロー・フォーエヴァーを起点とした、ポップスの新たなディスク・ガイド〉としての側面も持っている。紹介されている古今東西の名盤と『Whatever It Is』を聴き比べながら、二人の濃密なダイアローグを楽しんでほしい。

HELLO FOREVER 『Whatever It Is』 Rough Trade/BEAT(2020)

モダナイズされた〈サイケデリック・ポップ〉

――まずは、ハロー・フォーエヴァーを聴いたときの第一印象から教えてください。

黒田隆憲「僕はアルバムより先に、シングル“Everything Is So Hard”のミュージック・ビデオをYouTubeで観て衝撃を受けました。アレハンドロ・ホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン』や、アリ・アスターの『ミッドサマー』を彷彿させるサイケデリックな映像や、ビートルズ~ポール・マッカートニーっぽいメロディー、ジョージ・マーティンがスコアを書いたようなストリングスの入り方とかに〈これはすごい!〉って。

それに比べるとアルバムには、ビートルズというよりビーチ・ボーイズを強く感じました。しかもダーティー・プロジェクターズっぽい雰囲気もあって、彼らとビーチ・ボーイズのミッシングリンクというか、ダーティー・プロジェクターズの中にある〈ビーチ・ボーイズらしさ〉を改めて認識させられましたね。そういう意味でもハロー・フォーエヴァーは、〈サイケデリック・ポップ〉と言われているもののなかでは、結構モダンなアプローチをしているなと」

『Whatever It Is』収録曲“Everything Is So Hard”

――アルバムの中で特にお気に入りの曲ってありますか?

黒田「“Get It Right”がすごく好きです。2分ちょっとしかないんですけど、そのなかでめまぐるしく展開していく組曲っぽい感じが好きです。あとは、“Her Everything”ですね。ベースラインが反復していくなかでメロディーとハーモニーが展開していく感じも気持ち良いし、ギターの音響っぽいアプローチはビーチ・ハウス辺りを彷彿させます」

『Whatever It Is』収録曲“Get It Right”“Her Everything”

――岡村さんはいかがでしょう?

岡村詩野「私も最初に楽曲単位で聴いた印象としてはビーチ・ボーイズだとか、そういういわゆる〈サイケデリックでハーモニーありきのポップス〉って感じでした。ただアルバム全体を聴いてみると、ビーチ・ボーイズとかレノン=マッカートニー・ライクなもの以上に、もうちょっと現代的な要素を強く感じたんですね。

たとえばダーティー・プロジェクターズの最近の作品は、オートチューン使いなどの面で、今日のR&Bとかヒップホップの影響を受けている。それと同様にハロー・フォーエヴァーも、今日的なブラック・ミュージックの流れを踏まえた音楽の作り方・捉え方をしてる人たちだなと思ったんですね。

なので、アルバムの中で重要だと思う楽曲は“Rise”です。私はダントツでフックがあると思ってます。あと“Yeah Like Whatever”なんかも、やっぱりソウル~R&Bの要素が強くて、こういう曲の方にこそ実はこのバンドの面白さが潜んでる気がします」

『Whatever It Is』収録曲“Rise”“Yeah Like Whatever”

歴史的な深さと地域を越えた広がりが共にある音楽

黒田岡村さんがサム・ジョセフ(ハロー・フォーエヴァーのリーダー)に行ったインタビューを読んだのですが、ハロー・フォーエヴァーは、曲作りの段階では自分たちの影響元をあえて〈参考にしないように〉していて、サウンド・プロダクションの段階で意識的に(影響元を)取り込んでいる、みたいな発言をしていました。その辺に、〈~っぽいコード進行〉みたいなところから入っていく作り手との違いがあるのかなと思います。だから楽曲そのものにビートルズっぽさやビーチ・ボーイズっぽさは、そんなに感じないのかもしれない」

岡村「本当にそうですよね。だからそれこそ、フランク・オーシャンとかチャンス・ザ・ラッパー、カニエ・ウェストなんかを普段聴いてるような人にこそ聴いてほしい音楽だと思います。

フランク・オーシャンやチャンス・ザ・ラッパーってヒップホップ・フィールドに閉じないでポップの要素を上手く取り込んでると思うんです」

黒田「そういえばフランク・オーシャンの『Blonde』(2016年)には、ビートルズとビーチ・ボーイズの影響がかなりあると本人が公言していました。直接的にも、ビートルズの“Here, There And Everywhere”(66年作『Revolver』収録曲)をサンプリングしてますしね」

フランク・オーシャンの2016年作『Blonde』収録曲"White Ferrari"。
ビートルズの“Here, There And Everywhere”がサンプリングされている

岡村「ええ。ハロー・フォーエヴァーは、その逆のアプローチですよね。だから近年のボン・イヴェールやヴァンパイア・ウィークエンドといった人たちのアプローチと近いような気がするんです。

それに加えて、この人たちは歴史の縦軸が非常に深い。だから聴いていて最初に思い浮かんだのは、トロピカリズモ時代の(ブラジルの)バンドとかアーティスト、たとえばオス・ムタンチスとかそういう人たちだったんです。いずれも、縦の歴史的な深さと地域を越えた横の広がりが共にある音楽だと思うんですよね」

――さまざまな先人たちから影響を受けつつ、それを同時代的な広がりのなかで表現している、というのはわかります。影響という点に関して、岡村さんの担当されたインタビューを読んでいて意外に感じたのが、トクマルシューゴさんの名前が出てきたことです。本作のなかにトクマルさんからの影響が感じられる部分はありますか?

黒田「楽器の使い方ですかね。トクマルさんは本当にいろんな楽器を使っていますが、それをイディオム的に演奏するというよりは、モジュールとして使用しているというか。たとえばバンジョーだったら、いかにもバンジョーっぽいフレーズを奏でるのではなく、その音色を使って〈バンジョーっぽさ〉とは全く違うアプローチをする。エンニオ・モリコーネや、彼に影響を受けたショーン・オヘイガン(ハイ・ラマズ)もよくやる手法ですが、そういうところがちょっと似ているのかな、と思いますね」

岡村「そうですね。中心メンバーのサムもいろんな楽器を使って一人で音を作れちゃうんですが、そういうところは影響を受けてるんじゃないかなと思います。

実はハロー・フォーエヴァーは今回、トクマルさんにリミックスを依頼したらしいんですよ。残念ながら日程が合わなくてトクマルさんはお断りせざるを得なかったらしいんだけど、いつか一緒に何かやってほしいですよね」

トクマルシューゴの2020年発表のシングル“Canaria”

 

バンドの基調をなすリベラルな感覚

――ハロー・フォーエヴァーはバンドですけど、サム・ジョセフのソロ・ユニットという趣も強いんでしょうか?

岡村「そうですね。彼を中心にいろいろな人が入れ替わり立ち代わりながら、今のサウンドに近づいていったみたいです。だからこれからもサム以外は、もしかしたらメンバーも変わるかもしれない」

――岡村さんのインタビューでサム・ジョセフは〈西海岸の音楽にリスペクトは感じるが、その背景にあった男尊女卑・人種差別的な思想には賛同できない〉と言っていましたが、ハロー・フォーエヴァーにおける思想的なものについてはどう思われますか?

岡村「彼らは一つのおうちでメンバーのほとんどが一緒に暮らしているんです。昔のヒッピー・コミューンみたいなものを実践しているようなところがあって、俗っぽいあり方に一定の距離を取っている。

メンバーに関しても、〈音楽をやってない人でもメンバーだ〉みたいな感覚が共有されている。そういうリベラルな感覚はバンドとしての活動にも反映されていると思います」

黒田「たしかに、ビデオ・ディレクターやカメラマン、デザイナーらが、全体のプロジェクトの一員として参加しているところは面白いですよね」

岡村「〈いろんな人がいる〉っていうのは、最近の潮流でもありますよね。たとえばボン・イヴェールやナショナルのデスナー兄弟は、一緒に〈People〉っていうコミュニティーを作っていて、そこには音楽家以外にもいろんな人が関わってたりするじゃないですか。ハロー・フォーエヴァーもまた違う〈コミュニティー・ミュージック〉を形成しているのかもしれないです」

 

ハロー・フォーエヴァーと併せて聴きたい名盤たち

――今回はお二人に〈ハロー・フォーエヴァーと併せて聴きたい作品〉をいくつか用意していただきました。それぞれプレゼンしていただけますか。

黒田「まずはパー(Purr)っていうバンドの『Like New』(2020年)。もともとはジャック&エリザという名義で活動していたニューヨーク出身の男女二人によるセカンド・プロジェクトで、フォクシジェンのジョナサン・ラドーがプロデュースしています。

ビーチ・ボーイズやビートルズの他に、ビーチ・ハウス、ステレオラブ、あとはブロードキャストっぽい雰囲気もありますね。リヴァーヴの感じとかはすごくサイケデリックで音響的なんですけど、ベースはポール・マッカートニーのようにメロディックで動き回るところなどもおもしろいです」

パーの2020年作『Like New』収録曲“Giant Night”

岡村「曲によっては、たしかにハロー・フォーエヴァーと近いものがありますよね。2曲目の“Giant Night”とか。ただ、私は言うほどハロー・フォーエヴァーに〈マッカートニー風〉は感じないんです。

たとえば、フォクシジェン、レモン・ツイッグス、ホイットニーあたり。彼らとハロー・フォーエヴァーの共通点って、私はあまり感じないんですよ。リスナーの層はかぶってるような気がするんですけど、ハロー・フォーエヴァーにはもう少しブラック・ミュージックの色が強い印象があるし、ブラジル音楽とかアフリカ音楽のリズムを意識的に取り入れてる感じもある」

黒田「なるほど、とてもよくわかります」

岡村「その観点からいくと私が一番感覚的に近いと思うのは、エラード・ネグロが去年出した『This Is How You Smiles』です。エラード・ネグロはサイケデリックな志向性とブラック・ミュージック、アフリカ音楽、ブラジル音楽などをハイブリッドに混ぜる感じの人で、プレフューズ73のギレルモ・スコット・ヘレンが別名義でやっている、サヴァス&サヴァラスにも参加してます。

ギレルモ・スコット・ヘレンはスペインに民族的なルーツがあって、サヴァス&サヴァラスの作品にもスペイン語の曲が入ってますよね。そういう〈越境する感じ〉は、ハロー・フォーエヴァーにもあると思います。しかもハロー・フォーエヴァーの場合は、それが学術的に突き詰めた捉え方ではなくて、もっと開放的かつフレンドリーに表現されていて、そこがおもしろい」

エラード・ネグロの2019年作『This Is How You Smile』収録曲“Running”

黒田「ビートルズ的なポップとブラック・ミュージックとの交流という点では、イーサン・グルスカの『En Garde』(2020年)もおもしろいかも。このアルバム、モーゼス・サムニ―やリアン・ラ・ハヴァスが参加しているんですよ。アルバム全体としてはポール・マッカートニーとかスフィアン・スティーヴンスっぽいメロディー・ラインが印象的で、いろいろなジャンルやサウンドがコラージュ的に散りばめられています」

イーサン・グルスカの2020年作『En Garde』収録曲“Enough For Now (feat. Phoebe Bridgers) ”

岡村「オートチューンを使った最近のR&Bやヒップホップも大事ですけど、まったく別のアングルとして〈得体のしれないおもしろさ〉みたいなものも感じるんです。その点で挙げておきたいのは、ゴッドキャスター(Godcaster)っていうバンド。音はすごくラフで手作り感のある作りなんですけど、MVとかめちゃめちゃおもしろいんですよ。〈おもしろおかしくやって、自分たちもどこか笑いながらやる〉みたいな気安い姿勢はハロー・フォーエヴァーにもあるので、近い気がします」

ゴッドキャスターの2020年作『Long Haired Locusts』収録曲“All the Feral Girls In The Universe”

黒田「あとヒップホップからの流れで言うと、僕はアヴァランチーズもあわせて聴けるなと思いました。ポップ・ミュージックをヒップホップ的な解釈で再構築するという作り方には、近いものがある」

アヴァランチーズの2016年作『Wildflower』収録曲“Because I'm Me”

――最近のもの以外だと何かありますか? 新作をきっかけに昔の作品が新鮮に聴こえるようになる、ということもあるので。

黒田「僕はクイーンの『Jazz』(78年)ですね。(ハロー・フォーエヴァーの)ギターの音色やギター・オーケストレーション、ジャズっぽいアプローチなどは、クイーンのいわゆる〈ロック・オペラ〉的な部分ではなく、『Jazz』のようなところから影響を受けていると思う」

クイーンの78年作『Jazz』収録曲“Bicycle Race”

岡村「私はやはりさっきも名前をあげたオス・ムタンチスです。いわゆるトロピカリズモ時代にサイケなことをやっていたブラジルのビートルズ。彼らが当時やっていたことと時代を超えてハモっているようなところがあるし、得体のしれない感じもある。

その系譜のなかにいるアーティストとしては、90年代のエレファント6周りともつながりそうに感じます。サイケデリックで室内的コラージュな音作りと、〈みんなでおもしろいことやろうよ〉とでもいうコミュニティー感の強さが、ハロー・フォーエヴァーにも確実にありますよね」

オス・ムタンチスの68年作『Os Mutantes』収録曲“A Minha Menina”

アップルズ・イン・ステレオの95年作『Fun Trick Noisemaker』収録曲“Glowworm”。アップルズ・イン・ステレオはエレファント6周辺を代表するバンド

ネットとリアルの相乗効果が生む、新たな〈コミュニティー・ミュージック〉

――〈コミュニティー感〉っていうのは、ハロー・フォーエヴァーを語る上で重要なワードだと思います。最近は彼らに限らず、コレクティヴ的なあり方のバンドが増えている印象です。ボン・イヴェール周辺、カナダのクラック・クラウド、日本のROTH BART BARON……こうしたバンドが多く出てきていることには、何か背景があるんでしょうか?

黒田「これは音楽シーンに限らず思うことですが、やはりインターネット、それもSNSの存在が大きいのではないかと。同じ趣味、嗜好、志を持った人たちが、地域や性別、年代を超えてつながりやすくなりましたし、それによって従来の男社会的というか、ローカルな縦社会とは全く違うコミュニティーが作りやすくなった気がします」

岡村「インターネットでエリアを越えてつながれるっていうのは機動力を高めていると思うんですけど、一方でそれがかえって地域性を浮き彫りにしているところもある気がするんですよ。

たとえばボン・イヴェールのジャスティン・ヴァ―ノンは今、大統領選を前にして、地元ウィスコンシンに住む人たちとトーク・セッションをしたりしている。で、そこにインターネットを通じていろんな人たちがジョインしてくるって状況がある。

おそらくインターネットの〈ヴァーチャルな感覚〉と、顔を合わせることを通じて得られる〈現実にコミットする感覚〉が、同時に重要視されている気がします」

黒田「インターネットを通して、すでにあるコミュニティーに誰でも分け隔てなく入っていけるようになったところもあるし、逆にインターネットがきっかけになって、みんなで集まって新しくコミュニティーを作っていくという動きも出てきている。

そしてコロナ以降、それが加速していっている感じがしますね。リモートでは代替しえない、実際に集まることやリアルタイムでコミュニケーションすることの大切さみたいなことに、多く人が気付き直している感じはあります」

 

コロナ禍が変えた世界でハロー・フォーエヴァーに期待すること

――本作はコロナ禍以降に出た作品に漂う内省的な雰囲気とは異質な、ピースフルな感覚に貫かれていると思います。お二人は、コロナ以前/以降で音楽のあり方がどう変わったかと思いますか?

岡村「曲の良さがダイレクトに伝わる作品が、出てきている印象です。テイラー・スウィフトの『folklore』もそうだし、フリート・フォクシーズの新作(『Shore』)もそうでしたけど。コロナ以降、ライブに行けなくなってホーム・リスニングに立ち返ったときに、音楽を聴く方も作る方も、そういう作品を求めるようになったのかなって気はしますね」

フリート・フォクシーズの2020年作『Shore』収録曲“Can I Believe You”

黒田「9.11や3.11の時もそうでしたが、世界が大きく揺れる出来事があると、内省的な音楽が求められる傾向にある気は以前からしていました。今回はコロナに加えて〈Black Lives Matter〉もあると思うんですけど、それを機に作り手はもちろん、リスナーの聴き方も変わってきている印象があります。

たとえば、BLMの影響で多くのアーティストが新作のリリースを控えるなか、本人の強い意向でリリースされたフィオナ・アップルの新作『Fetch The Bolt Cutters』が、Pitchforkをはじめ各方面で非常に高く評価された背景にも、そういう事情があるのかなと。あのアルバムは、音数を絞り込んだシンプルかつ剥き出しのサウンドスケープと、みずからの過去や痛みと向き合ったような赤裸々な歌詞がとても印象的で、まるでジョン・レノンの『John Lennon/Plastic Ono Band(邦題:ジョンの魂)』のようでした。『Fetch The Bolt Cutters』はコロナ前に作られてはいますが、とても内省的な作品でしたし、今はそういう音楽が受け止められやすくなった気がしています。

そういう意味ではハロー・フォーエヴァーも、さっきおっしゃったような〈ピースフルな感覚〉とも少し違うというか、実は内省的なムードも孕んでいる作品だと思ったので、昨今の暗いムードのなかで異質だという感じは特にしませんでしたね」

フィオナ・アップルの2020年作『Fetch The Bolt Cutters』表題曲

岡村「歌詞を見ても結構ペシミスティックなところがあって、必ずしもサマー・オブ・ラヴの時代のような〈みんなで輪になって踊ろう〉的なものではないですよね。

たとえば“Get It Right”の歌詞は〈どうして僕がときどき途方に暮れているかわかるかい?/正しくやれていたらいいけど〉っていうところからはじまり、〈正しくやれていたらいいけど〉ってフレーズがリフレインされる。自分はこれで大丈夫なのかなって疑問や不安があり、誰かに背中を押してほしい気持ちが歌詞に表れている」

――では最後に、ハロー・フォーエヴァーの今後に期待することは何でしょう?

黒田「とはいえ、やっぱりライブで聴きたいですよね。僕、一昨年にLAのサイケ ・フェス〈Desert Daze〉へ行ったんですが、ああいう場所が本当に似合いそうなバンドなので。最初に話したように、“Everything Is So Hard”のMVが『ミッドサマー』っぽくてすごく良かったので、みんなで手作りの花冠をかぶって輪になって踊りながら聴きたい(笑)。そして、そういう音楽をこれからも作って欲しいです」

『Whatever It Is』収録曲“Some Faith”のライブ映像

岡村「彼ら、先日インスタライブをやってたんですけど、わざとなのかもしれないけど、バリバリにスキルがあるような感じがしなかったんですよ。でも逆にホーム・パーティー感があって、それが妙に良かった。だから今後のハロー・フォーエヴァーも、そういうフレンドリーでピースフルなライブを見せてくれるようなバンドであったらいいなと思います。

そこで思い出したのが、デヴェンドラ・バンハートが初来日時に〈サマーソニック〉のビーチ・ステージでやったパフォーマンスで。サウダージな感じで心地よいんですけど、最後までユルユルでしまいにはお客さんまでステージに上げちゃってギターを弾かせたり(笑)。めちゃくちゃだけど、みんなで楽しんで気持ちよく踊る良さがデヴェンドラのライブにはあった。そういうくだけた魅力はハロー・フォーエヴァーにも、きっとあるような気がします。

ショーアップされたパフォーマンスを観て圧倒されるっていうのとは違って、ちょっとネジが緩んでいる感じのパフォーマンスをみんなで楽しむっていうのは、まさにコロナ禍以降求められている体験かもしれない。そんななかでハロー・フォーエヴァーの持ち味は、これからもっともっと求められていくんじゃないかなって気がします」