いま注目を浴びるピアニスト、フェデリコ・アルバネーゼは幼少期からピアノを始め、映画やBBCのテレビシリーズの音楽制作に携わっていた経歴を持ち英名門レーベルのMercury KXと契約しポスト・クラシカル界で高い評価を得ている。彼の作品やアートワークには〈水〉に関するものが多い。海岸に耐えず打ち付ける波を想起させる力強いものや、泡沫のように瞬で消えてしまうような儚さもこのアルバムを通して感じることができる。それは海中で流れに身を任せ浮遊し、最後には海底まで沈みこむような感覚を憶えるだろう。ピアノとヴァイオリンの音色の重なりから余韻までもが美しく私たちの心に沁みこむ詩情的な一枚となっている。