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俺たちにとっての普通

 もうひとつ従来との大きな差異があるとすれば、外部プロデューサーを起用した点だ。これまでは両ギタリストがセルフ・プロデュースに近いかたちでアルバム制作を行ってきたが、今作ではスウェーデンを拠点とするイェンス・ボグレン(プロデューサーもしくはエンジニアとして、オーペスやソイルワーク、DIR EN GREYをはじめ、アーチ・エネミーの最新作『War Eternal』にも関与)と手を組んでいる。彼の起用理由について、ハーマンは以下のように説明してくれた。

 「外部プロデューサーの起用はマネージャーからの提案だった。というのも、前作の時に音源の完成が遅れてね。シンガーが変わって時間がかかっただけのことなのに、俺たちの作業が遅いせいだと思われたのさ(笑)。とはいえ、過去に5枚も自分たちで作ってきたから、このへんで客観的な視点を求めるのもいいんじゃないかと思えたのは事実だよ。ただ、いわゆるメロディック・スピード・メタルの専門家みたいなプロデューサーとは組みたくなかった。そういうスペシャリストたちは、確かに腕はいいんだろうけど、昔からのルールに縛られているところがある。こういう音楽はこうあるべきだっていう考えが強すぎるんだ。ファースト・アルバム『Valley Of The Damned』の時、トミー・ハンセン(多くのジャーマン・メタル作品を手掛けてきた有名プロデューサー)と仕事をしてそれを思い知らされたよ。イェンスの場合、こういった音楽が好きでありながら、俺たちみたいなバンドを過去にほとんど手掛けてこなかった。そこが気に入ったし、前評判通りに音も良かった。しかもちゃんと日程通りに仕上げてくれたしね(笑)」。

 さらにサムは、「ドラゴンフォースの音楽には古き良きパワー・メタルの要素が含まれているけど、サウンド全体がオールド・スクールなものでありたいとは思っていないし、あくまでモダンでありたい」と言い、イェンスの起用がその点においても正解だったと認めている。

 ところで『Maximum Overload』というタイトルには、情報が氾濫する現代社会に対しての警告めいたニュアンスもあるようなのだが、彼らのような〈情報(=要素)過多の音楽〉を体現するバンドがこうした表題を掲げるというのもなかなか興味深い。そんな指摘をすると、ハーマンからこんな回答が返ってきた。

 「実は過去の作品についてもそうなんだけど、今回もドラゴンフォースの慣例に従って〈自分たちの音楽を言い表すような表現〉をタイトルで使っているんだ。世の中の平均からすれば過剰かもしれないけど、これが俺たちにとっての普通というわけだよ(笑)」。

 心底好きなことを、とことんやり抜くドラゴンフォース。この新作を味わい尽くしながら、10月に行われる〈LOUDPARK〉での再会を待ちたいものだ。

 

▼関連作品

『Maximum Overload』にゲスト参加したマシュー・ヒーフィが在籍するトリヴィアムの2013年作『Vengeance Falls』(Roadrunner)

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