INTERVIEW

DRAGONFORCE 『Maximum Overload』 Part.1

スピードメーターはマキシマムに振り切れ、もはや誰も彼らのことを止められないだろう。圧倒的なプレイとスケールの大きい歌メロ――己の持ち味を遺憾なく発揮し、いまさらなる高みをめざす!

DRAGONFORCE 『Maximum Overload』 Part.1

好きな音楽に正直に

 英国の超絶メタル・バンド、ドラゴンフォースの通算6枚目にあたるニュー・アルバム『Maximum Overload』が完成した。メロディアスでスピーディーな楽曲のあり方も、これでもかと詰め込んだギター・ソロに象徴される音楽的な情報量の多さも、基本は変わっていない。もちろん過去を単純に踏襲しているわけじゃなく、不変のまま進化を遂げたという印象だ。

DRAGONFORCE Maximum Overload Roadrunner/ROADRUNNER JAPAN(2014)

  「自分たちのスタイルを確立するために何年もの年月を費やしてきたし、他のバンドとは違うことをやっているという自負もある。だったら持ち前の特徴的なサウンドを変えてしまう必要はないからね。ただ、従来以上にヘヴィーなリフもあるし、曲によって従来とは異なったテーマのものもある。俺たちなりのチャレンジというのが今回もあるんだ」。

 香港生まれのギタリスト、ハーマン・リの発言である。そして、99年結成の前身バンド時代から彼と活動を共にするもう一方のギタリスト、サム・トットマンは〈変化〉というものについて次のように語ってくれた。

  「作品ごとに音楽スタイルを変えていくバンドの気持ちもわかるんだ。同じことばかりやり続けるのは飽きるからね(笑)。ただ、俺たちの場合はいまだにこうした音楽を心底楽しんでいる。やっぱり速い曲が好きだし、大仰なコーラスが好きだし、そういう根幹の部分は変わらない。要するに自分たちの好きな音楽に対して正直でいられているんだ。確かに5枚も6枚もアルバムを作っていれば、同じことの繰り返しに陥る場合もある。だけど俺たちはそこで若干の環境変化を求めたりしながら、ごく自然に自分たちのあるべき姿を保ち続けているんだよ」。

 このサムの発言を受け、ハーマンは「ドラゴンフォースの音楽が好きじゃない人たちの言い分を知ることにも意味がある」と言う。

  「そういう人たちは大概、曲が速すぎるとか、ギター・ソロが多すぎるとか、ゲーム・ノイズみたいな要素が余計だとか言ってるんだ。でも、裏を返せばそれが俺たちの特徴であり、個性だということ。だからそれを大事にしていけばいい」。

 自分たちに対するネガティヴな言い分までも、こうしてプラスに変換してしまう思考のあり方は、我々も見習うべきところか。それはさておき、実際に今作でもそうした特徴的な要素が最大限に反映されているわけだが、前作との大きな違いのひとつは、その『The Power Within』から加入したフロントマン、マーク・ハドソンの持ち味を踏まえたうえで曲が作られている点だ。サムは「前作の場合、収録曲の多くは新ヴォーカリストが誰になるか定かじゃない段階で書いたものだったけど、いまではマークの声域のどこがいちばん魅力的かもわかっているからね」と語り、「同時にいまの彼は自分のすべきことがわかっているから、前回ほどあれこれと指示する必要がなかった」と付け加える。


俺たちにとっての普通

 もうひとつ従来との大きな差異があるとすれば、外部プロデューサーを起用した点だ。これまでは両ギタリストがセルフ・プロデュースに近いかたちでアルバム制作を行ってきたが、今作ではスウェーデンを拠点とするイェンス・ボグレン(プロデューサーもしくはエンジニアとして、オーペスソイルワークDIR EN GREYをはじめ、アーチ・エネミーの最新作『War Eternal』にも関与)と手を組んでいる。彼の起用理由について、ハーマンは以下のように説明してくれた。

  「外部プロデューサーの起用はマネージャーからの提案だった。というのも、前作の時に音源の完成が遅れてね。シンガーが変わって時間がかかっただけのことなのに、俺たちの作業が遅いせいだと思われたのさ(笑)。とはいえ、過去に5枚も自分たちで作ってきたから、このへんで客観的な視点を求めるのもいいんじゃないかと思えたのは事実だよ。ただ、いわゆるメロディック・スピード・メタルの専門家みたいなプロデューサーとは組みたくなかった。そういうスペシャリストたちは、確かに腕はいいんだろうけど、昔からのルールに縛られているところがある。こういう音楽はこうあるべきだっていう考えが強すぎるんだ。ファースト・アルバム『Valley Of The Damned』の時、トミー・ハンセン(多くのジャーマン・メタル作品を手掛けてきた有名プロデューサー)と仕事をしてそれを思い知らされたよ。イェンスの場合、こういった音楽が好きでありながら、俺たちみたいなバンドを過去にほとんど手掛けてこなかった。そこが気に入ったし、前評判通りに音も良かった。しかもちゃんと日程通りに仕上げてくれたしね(笑)」。

 さらにサムは、「ドラゴンフォースの音楽には古き良きパワー・メタルの要素が含まれているけど、サウンド全体がオールド・スクールなものでありたいとは思っていないし、あくまでモダンでありたい」と言い、イェンスの起用がその点においても正解だったと認めている。

ところで『Maximum Overload』というタイトルには、情報が氾濫する現代社会に対しての警告めいたニュアンスもあるようなのだが、彼らのような〈情報(=要素)過多の音楽〉を体現するバンドがこうした表題を掲げるというのもなかなか興味深い。そんな指摘をすると、ハーマンからこんな回答が返ってきた。

  「実は過去の作品についてもそうなんだけど、今回もドラゴンフォースの慣例に従って〈自分たちの音楽を言い表すような表現〉をタイトルで使っているんだ。世の中の平均からすれば過剰かもしれないけど、これが俺たちにとっての普通というわけだよ(笑)」。

 心底好きなことを、とことんやり抜くドラゴンフォース。この新作を味わい尽くしながら、10月に行われる〈LOUDPARK〉での再会を待ちたいものだ。

 

▼関連作品

『Maximum Overload』にゲスト参加したマシュー・ヒーフィが在籍するトリヴィアムの2013年作『Vengeance Falls』(Roadrunner)

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