カペリャ・デ・ミニストレルス(Capella de Ministrers)他『聖母マリアのカンティガ集』狂おしく濃密な響きが中世イベリア半島への逍遥にいざなう

2021.06.14

伸びやかに吹きかき鳴らされ、打ち鳴らされる中世楽器の精細な響き。飾らない、生地そのままの手触りが快い歌声。熱と狂おしさを帯びる走句、ひたひたと撥弦されるはかなくも繊細な楽音が、聴き手を中世イベリア半島への逍遥にいざなう。400を超える聖母マリアの頌歌を編纂した賢王アルフォンソ10世は、2021年で実に生誕800年。87年設立の名手たちが創意を凝らしたディスクの中で刻んできた〈カンティガ〉を集め綴じたこの一枚からは、さながら羊皮紙の美しい手稿本が想い浮かぶ。半分以上のトラックを器楽合奏で占めているのが特色で、楽器のリアルで濃密な響きが愉しめる中世音楽盤として出色だ。

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