髙橋望『J.S.バッハ:パルティータ集』ペーター・レーゼルの弟子ピアニストが理論的分析と豊かな感興を融合

2021.07.15

ドレスデン国立音楽大学に学び、ペーター・レーゼルの薫陶を受けたピアニスト髙橋望。J.S.バッハ演奏の第一人者で平均律クラヴィーア曲集第1巻のディスクはレコード芸術特選となった。髙橋望のバッハの長所は理論的分析と感興の豊かさが融合していること。透徹したタッチ、シャープな強弱の切り返しには音楽史や演奏様式学を踏まえたスコアの読みの具現化を感じる。一方で音と音の繋ぎにある潤い、ふとした瞬間の明暗のコントラストからはピアノで弾く、聴くバッハの喜びがあふれ、学問的配慮にこだわりすぎて小さい音楽になる事態からサラッと逃れている。奏者の深化を物語る秀逸なアルバム。

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