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インタビュー

島爺『御ノ字』歌い手活動10周年作はボカロ・ネイティヴ世代のポップセンス品評会!

〈永遠の82歳〉が全曲解説を交えて語る

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『御ノ字』の濃厚な9曲を個別に解説!

1. 逆光
島爺の作詞/作曲による疾走感たっぷりのメロディック・チューンは、NHK特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」のための書き下ろし。〈絶望だって失望だって 抱きしめて 今前へ〉というフレーズの、〈抱きしめて〉というワードのチョイスが島爺のこだわりだ。「ヒーローもののタイアップでないと、ここまでまっすぐな詞は書けなかっただろうなというぐらい、どストレートな曲。通勤通学の時とかに聴いてほしい曲です」。

2. ベンジェンス
負の感情を体現する柊キライ特有の世界観と、島爺の持つ不屈の七転び八起き精神とががっちり手を組んだトリッキーなエレクトロック。「この曲を依頼した時に〈何かワンフレーズいただけますか〉と言われて、〈いつか見とけよボケ〉でお願いしますと(笑)。反骨心をテーマに作っていただきたいなと思ってそう言ったら、すごい曲が返ってきました」。

3. しゅらんぼん
鋭い刃物のようにキレキレのエレクトリック・ギターがリードする、毒々しいファンク・ロック。煮ル果実×島爺の初コラボは、危険なほどスリリングかつ啓示的だ。「あんまり満足のいく人生を送れていない人間が、酒を呑んでくだを巻いて愚痴をこぼしているところに寄り沿う歌。現代にはこういう人もけっこういらっしゃると思うし、その人たちのためにも絶対にないといけないタイプの歌ですね。メジャー・シーンにはあまりいない、こういう世界観を描ける人がいるのがボカロ文化の強みだとも思います」。

4. めちゃくちゃにしちゃおうぜ
アルバム中でもっともはちゃめちゃでハッピーなポップ・チューン。と見せかけて、薄塩指数による平凡な日常の徹底破壊を企む扇動的な歌詞は、相当にヤバイ。恐るべき二重人格がこの曲の魅力だ。「ライヴでやって楽しい曲。〈世の中あんまりいいこともないけど開き直ろうぜ〉というノリの良さがあって、その開き直りは大事かなと思います。〈踊らにゃ損損〉ということですね。曲調は楽しいですけど、ある意味アルバムのなかで一番尖っている曲かもしれない」。

5. 極楽人鳥
ピノキオピーによる楽曲は、お囃子を取り入れた陽気なお祭りダンス・チューン。歌詞もピノキオピーによるものだが、〈悩んでる人は悩んでるままでいい。そんな人の人生を全肯定する曲が欲しい〉という島爺の言葉をヒントにしたもの。「ネガティヴな気質の人がポジティヴになろうとするのは、単なる自己否定なのではないか?と思うし、逆にネガティヴな人がネガティヴな自分を肯定するのは、ポジティヴなことなのではないか?と思うので。僕もその手のテーマで悩むことが多いタイプなんです」。

6. オートマトン
愛しさと切なさと力強さが溢れ出す、爽快かつ胸キュンな王道ギター・ポップ。ジミーサムPによる瑞々しいバンド・サウンドに合わせ、島爺の歌声もパワー控えめ、語り掛けるようなニュアンスがばっちりハマった。「〈ただただ繰り返すだけの毎日になってしまってないか?〉〈惰性で生きるだけになってしまっていないか?〉と問い掛ける、自分を見つめ直すメッセージを込めていますね。仕事帰りや学校からの帰り道に聴いてほしい曲です」。

7. 不可避
アニメ「終末のワルキューレ」のエンディング・テーマとして、島爺が作詞/作曲を手掛けた超スケールのロック・バラード。つぶやくような祈るような、ファルセットを交えた繊細な歌唱に、ヴォーカリスト・島爺の引き出しの奥深さを感じずにはいられない。「『終末のワルキューレ』という作品がなければこんな曲は書けなかったと思います。アレンジは現代的に聴こえるようにしましたけど、骨格は童謡みたいな感じ。昔にあったことを後世に伝えるために歌にして残す、そういうものをイメージして作った感覚もありました」。

8. カラクリズム
デビュー当時から縁の深いナナホシ管弦楽団による書き下ろしは、ソカ風のリズムにパンキッシュなギター・ロックを組み合わせた一曲。「歌詞を読んで、〈10周年お疲れさまです〉と言ってくれてる曲やなと思いました。今までいろいろあったし、単純に〈楽しかったね〉では済ませられないけど、今後もおそらくそんな感じだろうし、ということも踏まえたうえで〈祝福よ どうか/そこにありますように〉という言葉で締めるところにグッときました」。

9. 花咲か
花咲か爺さんには花を咲かせる能力はない。それでもいい、僕は僕の歌を歌おう――。島爺の心の真ん中にある思いを、堀江晶太(kemu)による性急な和風オルタナ・ロックに乗せて歌い上げる。10周年アルバムのラストに相応しいエモーショナルな一曲。「〈きっと咲かそうが枯らそうが同じだと/お前を道連れに〉というフレーズに思いを込めました。これからも歌い続けようと思います」。

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