バロック時代を魅了したシャコンヌ(中南米が発祥のやや緩やかな3拍子の器楽曲のこと指す)は大バッハの傑作をもって徐々に衰退の歴史を歩んでいく。が、決してその炎は消えたわけではなかった。奏者の名演、編曲などの手法で生き残ってきた。そして訪れるピリオド奏法の隆盛。現代に至りシャコンヌはふたたび作曲家の手に戻る事となる。今回グリンゴルツが取り上げたのは、そんな〈現代のシャコンヌ〉。ホリガー、ジェラール、ボザと前衛・12音階と使用する名手によるものでありながらもどこか哀愁漂う美しさになるのは、かの曲想が持つ魔力故か? グリンゴルツの演奏も特筆モノの完璧さだ。