69年発表のサクソフォン奏者ノア・ハワード七重奏団のアルバムの復刻。近年、人種差別がさまざまな形で表面化し再びこの問題に正しく向き合うことが求められている。このアルバムの前、63年にキング牧師が先導したワシントン大行進から68年のキング牧師暗殺に至る公民権運動の歴史を振り返る機会になることも、この復刻の持つ意味のひとつだろうか。振り返る時、スティーヴ・コールマンがかつてすべての運動はその結果だけでなく、成し遂げようとしたその目的と失敗についても再考すべきとした指摘を念頭におくべきだ。当時そして今の願いがどういうものなのか、当時の記録のひとつであるこの音楽に耳を澄ましてみたい。